電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD23032

タイトル(和文)

国内の遠方監視制御装置に対するIEC 61850の適用-二挙動/一挙動制御を併用可能とする方法-

タイトル(英文)

An Application of IEC 61850 to Telecontrol Systems in Japan - A Method of Using Select Before Operate Control and Direct Control Depending on the Command Source -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
国内の変電所保護制御システムにおいては,運転員は二挙動制御注1) を利用しつつも,VQC 機能等を具備した自動システムは選択が不要な一挙動制御とすることで高速化を図ることが要件として存在し,国際標準であるIEC 61850適用時にも実現することが求められている。自動システムは,給電・制御所等の遠方箇所に設置される場合があるため,IEC61850を適用した変電所保護制御システムの遠方監視制御装置(テレコン子局)において,上記二つの制御方式を併用可能とする方法を確立する必要がある。

目  的
IEC 61850適用時において二挙動制御と一挙動制御を併用可能とする方法を提案する。また,提案方法を実装し,運用上で生じ得る状況を想定した妥当性評価を実施する。

主な成果
1. 二挙動制御と一挙動制御を併用可能とする方法の提案
二つの制御方式に同時対応できない一般的なIED 注2) が適用可能なように,制御方式の併用に関する処理をテレコン子局のみに実装する方法を提案した(図1)。テレコン子局には,二挙動制御用と一挙動制御用それぞれの論理ノード注3)を実装し,いずれの論理ノードで要求を受信した場合にも,IED が有する二挙動制御用の単一論理ノードに対して選択要求と制御要求の両方を送信することで制御方式の併用を実現する。提案方法は,システム構築時の製品調達選択肢やハードウェア点数を勘案して,IEC61850の中から適切な選択肢を用い,標準化対象外の点に関する仕様を定めることで確立した。
2. 運用上で生じ得る状況を想定した提案方法の妥当性評価
運用上で生じ得る様々な状況に対して,提案方法によりテレコン子局が適切な動作を実施できることを確認するため,テレコン親局,テレコン子局,IED を模擬し,提案方法を組み込んだ試験システムを構築した。制御が正常に実施できる場合に加えて,IEDから異常が通知される場合,応答が得られない場合等注4) を想定した試験を実施した(表1)。その結果,考えられる全ての試験ケースにおいて適切に動作し,提案方法の妥当性を確認した。

注1) 二挙動制御は,選択操作と制御操作による二挙動で機器を制御する方式であり,運転員の誤操作対策のために用いられる。一挙動制御は,選択なしで制御する方式であり,電圧・無効電力制御(VQC: Voltage and reactive power Control)等の自動制御機能を具備するシステムに用いられる。
注2) Intelligent Electronic Device の略称。本稿では,IEC 61850 に準拠し,かつベイレベルに設置した保護制御装置を指す。
注3) 制御機能等を実現するためのシステム構成要素。制御時には選択要求と制御要求の送信先となる。
注4) 本稿執筆時点で作成中であるIEC 61850-80-6 では,制御時に生じ得る様々な状況(通信途絶等)に対するテレコン子局の状態遷移が示されている。状態遷移の経路のうち,運用上で生じ得る状況に対応するものを選定し,模擬したテレコン子局にこれらを通過させる手順を試験ケースとして定めた。

概要 (英文)

In the control of substation equipment in Japan, operators use the selection before operation scheme. On the other hand, there is a requirement that automatic controlling systems shall execute direct control, which is the control scheme without selection, to achieve high speed control. In applying IEC 61850 to telecontrol systems, it is necessary to establish a method of using the above two control schemes depending on the command source by devising logical nodes embedded in Proxy/Gateway because automatic controlling systems may be installed in remote locations such as control centers. This report proposes a solution of using selection before operation scheme and direct control scheme depending on the command source. The proposed method is developed considering the system soundness and the system development cost. The test results using a prototype system exhibit that the proposed method has practical relevance.

報告書年度

2023

発行年月

2024/06

報告者

担当氏名所属

漁野 康紀

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

山下 広人

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

瀬戸 好弘

グリッドイノベーション研究本部

水上 朋子

東芝エネルギーシステムズ株式会社

和田 大輔

三菱電機株式会社

小野 正幸

日本工営株式会社

キーワード

和文英文
国際標準 International standard
変電所 Substation
テレコン子局 Proxy/Gateway
IED IED
タップ切換制御 Tap change control
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