電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD23012
タイトル(和文)
住宅のエネルギーに関するレジリエンス性向上のための調査-ポータブルバッテリー等の市場調査と家電利用試験による特性把握-
タイトル(英文)
Research to Improve the Energy Resilience of Homes -Investigation and Characteristics Evaluation for Portable Batteries and Generators-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
災害による停電や電力ひっ迫が生じた場合にも、住宅で情報取得や、明るさや暖かさ等の最低限の便益確保のための電力供給が必要となる注1)。これに対し昨今、可搬型の蓄電池など、比較的低コストに個別の電力供給が可能な装置が販売されており、災害時にも住宅で利用可能となる可能性がある。
目 的
災害時の住宅での利用を想定して、可搬型の電力供給装置の価格や性能、利便性を調査する。更に、それら装置を用いた電気機器の利用可能性を試験によって把握する。
主な成果
1.災害時の利用を想定した可搬型電力供給装置の得失調査
住宅で利用できる可搬型の電力供給装置を文献調査し、初期費用単価注2)、発電単価、その他の得失を整理した。
・可搬型蓄電池は初期費用単価が低く可搬性があり、また燃焼式の可搬型発電機と比べて発電単価が低いことから、災害時に活用できる選択肢の一つとして有用である(表1)。
・出力及び販売価格、重量はほぼ定格容量に比例しており、災害時に利用する電気機器の容量が装置選定の基準となる(図1)。
2.可搬型蓄電池及び発電機の利用可能性に関する特性把握試験
平時・災害時の住宅での利用を想定し、実際に可搬型蓄電池 4 機種とガスボンベ式発電機(表2)を試験し、特性を把握した。
・可搬型蓄電池の自立運転時の充放電効率は43~77%程度(図2)、充放電同時運転中の入出力のエネルギー比率は77~85%程度であった。
・正弦波出力可能な装置では、系統電力相当の正弦波電圧を出力可能であった。
・正弦波出力可能な装置では、公称最大消費電力注3)一杯まで電気機器を動作させることができ、エアコンや掃除機を稼働可能な機種もあった(表3)。
・矩形波出力の蓄電池ではカタログ上の最大消費電力より低い場合でも、LED照明等の一部機器が稼働しなかった(表3)。
・可搬型蓄電池は完全停止状態では25日経過後にも容量が 0~5%しか低下せず、長期間の電力保持が可能である。
・蓄電池からのAC100V出力ON時の自己消費電力は3.4~24.3Wであり、待機可能時間は49~99時間程度と見込まれる。
注1)関連研究報告:「住宅のエネルギーに関するレジリエンス性向上のための調査」電力中央研究所報告 GD21016,GD23026(2024.6 発行予定)
注2)蓄電容量あたりの販売費用[円/kWh]を指す。
注3)製品の取扱説明書等に記載された値。
概要 (英文)
In this study, market trends in prices and capacities of power supply equipment that could be used in homes during power outages was investigated, evaluation tests to understand the usability of portable storage batteries and generators was conducted.
The main results are as follows.
1) Characteristics such as the initial cost unit price, power generation unit price, and other advantages and disadvantages of small power supply equipment that could be used in homes during power outages was observed. Portable batteries have lower initial costs than stationary storage batteries and are more portable, and the unit cost of power generation is lower than small combustion-type generators, so they are useful as an option for use in times of disaster.
2) Evaluation tests were conducted on the usability of four types of portable storage batteries and gas cylinder generators during power outages and when connected to grid power, to understand characteristics such as charging/discharging efficiency, usable devices, and self-power consumption, and to identify issues.
報告書年度
2023
発行年月
2024/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
上野 剛 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
三田 裕一 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
郡司 俊佑 |
エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門 |
共 |
佐藤 勇人 |
グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門 |
共 |
増田 宗紀 |
グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
レジリエンス性 | Resilience |
停電 | Power outage |
ポータブル電源 | Portable power supply |
小型発電機 | Small generator |
充放電効率 | Charge and discharge efficiency |