電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD23007

タイトル(和文)

赤外線画像における温度勾配を利用した架空送電線および発熱箇所の検出

タイトル(英文)

Detection of overhead power lines and heat generating spots using temperature gradients in infrared images

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
架空送電設備では点検により定期的な保守が行われている。点検作業の一つに電線の発熱箇所検出が挙げられ、現状では手動で赤外線カメラ等による測定及び検出が行われている。電線の発熱箇所検出には電線を赤外線画像から目視で検出する必要がある。電線周囲に様々な背景が含まれている場合や、周囲温度と差が小さく不鮮明な場合には、電線検出が難しく時間がかかる。その作業効率化のため、電線の自動検出が望まれている。
目  的
電線周囲の背景や小さな温度差に起因する不鮮明な赤外線画像から電線を自動検出する手法を考案する。また、考案手法を利用した電線の発熱箇所検出ツールを開発する。
主な成果
1. 電線検出手法の考案
通電された電線の放熱を利用した電線検出手法を考案した。電線は図1(a)および(b)のように中心から熱を発している。赤外線画像上では放熱により電線周囲の画素で温度勾配が形成され、この勾配の方向を温度勾配方向 注1)とし、図1(c)のように電線上下端で逆方向に示される。そこで、図2(a)のように画像全体から各画素の温度勾配方向を求め、対象とする画素近傍に対となる逆の温度勾配方向があれば電線を構成する画素の候補として残す。その結果を図2(b)に示し、候補ではない画素を消すことで、背景や不鮮明な箇所を除くことができる。次に候補の画素を多く含む直線を算出することで、図2(c)のように電線を検出する。
 点検時の不鮮明な撮影画像例を図3左に示す。現在の点検作業は図3上段のように手作業で輝度などの表示パラメータを調整して電線を探す場合が多いが、考案手法を用いることで図3下段のように電線領域を検出できる。
2. 電線発熱箇所検出ツールの開発
 考案手法を基に、発熱箇所を表示する電線発熱箇所検出ツールを開発した。図4は現在の点検作業と本ツールの比較を示し、図4(a)は原画像、図4(b)は現在の点検作業による検出例、図4(c)は本ツールによる検出例を示す。点検作業では図4(b)のように手動で電線箇所を数点選び温度を表示させ相対的に閾値以上に高い箇所を発熱箇所として検出する。今回の発熱箇所は赤枠で示される。一方、本ツールは電線が検出された領域全体の平均温度から相対的に閾値以上に高い領域を定量的に評価する。図4(c)は本ツールで検出された発熱箇所を示し、点検作業の結果と同様の箇所を示した。これにより本ツールで発熱箇所を検出できることが分かった。

注1)近傍画素の温度差分を計算し、差分の絶対値が最大の方向を温度勾配方向とする。

概要 (英文)

Overhead power transmission facilities are maintained and inspected through regular patrols. During the patrol, the inspectors go directly to the site, and visually judge the abnormalities from obtained infrared images. In recent years, while the number of aging facilities has increased, the number of inspectors has been relatively decreasing due to the declining birthrate and aging population, and there is a need to improve inspection efficiency. For this reason, development of automatic judgment systems are desired from the point of view of labor saving. This report focuses on detection of heat generating spots in overhead power line. It is important to detect overhead power line from infrared images that are unclear and include various kind of objects. In this report, we present that we propose innovative method for detecting overhead power lines using temperature gradients in infrared images, and that we develop software for detecting heat generating spots.

報告書年度

2023

発行年月

2024/03

報告者

担当氏名所属

本田 匠

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

キーワード

和文英文
電線検出 Power Line Detection
画像処理 Image Processing
赤外線画像 Infrared Image
温度勾配 Temperature Gradient
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry