電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD23002
タイトル(和文)
ICTを活用した遠隔監視可能な送電設備保守支援システムの提案 ―山間地やマンホール内に設置された設備の通信網や電源の確保-
タイトル(英文)
Proposal of Remote Monitoring Maintenance Support System using ICT for Power Transmission Facilities - Securing Communication Networks and Power Sources for Facilities Installed in Mountainous Areas and Inside Manholes -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
送電分野では,高経年設備の増加や近い将来の労働力不足が懸念されており,効率的な設備の保守・監視には,ICT を活用した巡視・点検業務の省力化やリアルタイム性の
向上などが求められている。一方,送電設備は,山間地に設置される場合も多く,また需要地近辺では地下に設備が構築される場合も多いため,ICT を活用した高度な保守
を実現するためには,これらの点を考慮して保守を行う必要がある。
目 的
公衆通信網や商用電源が利用困難な山間地やマンホール内に設置された設備を保守するための要件を整理するとともに,ICT を活用した遠隔監視可能な保守支援システムを
提案する。
主な成果
1. 山間地やマンホール内に設置された設備を保守するための要件の整理
システム構築を行うために基本要件の整理を行った(表1)。公衆通信網や商用電源が利用困難な状況においても長期間安定したデータの送受信・電源供給が可能となるこ
とが要件として挙げられる。また,上記以外に測定頻度や伝送速度が重要な要件となるが,これらを抽出するためには監視対象を設定する必要がある。
2. ICT を活用した遠隔監視可能な保守支援システムの提案
(1)架空送電設備
電線の温度異常検出を監視対象とした場合,風などにより位置が必ずしも固定されず課電されている電線に対して,赤外線画像により非接触で温度異常を検出する技術
[1],鉄塔上に無線装置を設置した通信技術[2]と送電線から発生する磁界を利用した電源技術注1)を用いて,基本要件を満たす遠隔監視可能な保守支援システムを提案した
(図1)。本システム構築においては,システム動作に必要な電源の確保が最も留意すべき事項である。
(2)地中送電設備
ケーブル接続部の部分放電を監視対象とした場合,部分放電波形データの圧縮手法[3]を用いることでマンホール外への伝送制限の要件に対応し,低負荷時のケーブルから
も必要な電力を得ることができる電源技術 [4]や,マンホール内と地上間の電波伝搬特性に基づいた通信技術 [5]を用いて,基本要件を満たす遠隔監視可能な保守支援システムを提案した(図2)。本システム構築においては,地上部の受信装置の場所を適切に選定することが最も留意すべき事項である。
今後の展開
本保守支援システムを現場で構築し,検証・評価を行う。
注1)本研究では,太陽光発電による電力供給は実用化されているため,多様性を考え太陽光発電以外での電源技術を選定。
関連報告書:
[1] GD23007「赤外線画像における温度勾配を利用した架空送電線および発熱箇所の検出」( 2024.03)
[2] GD22004「架空送電設備遠隔監視のための通信網構築手法-公衆通信網が利用困難な地域における高速通信回線の構築-」(2022.12)
[3] GD21022「送電用マンホールでの遠隔絶縁診断に向けた 部分放電波形データの圧縮手法の開発」(2022.04)
[4] GD22005「地中送電設備監視のための磁界発電装置の開発 -ケーブル通電電流に応じたCT(変流器)の構築-」(2023.06)
[5] GD23009「地中送電設備遠隔監視のための920 MHz 帯電波伝搬特性の基礎評価」( 2024.03)
概要 (英文)
It is difficult to maintain the current frequency of patrol and inspection work for power transmission facilities due to the increase in aging facilities and the decrease in the working population in the near future. Therefore, by utilizing ICT(Information and Communication Technology) such as IT and sensors, it is required to improve inspection work such as real-time monitoring of facilities and efficiency such as labor saving.
In order to maintain facilities in mountainous areas and inside manholes where it is difficult to use public communication networks and commercial power, we organized the maintenance requirements. We also proposed ICT-based remote monitoring maintenance support systems.
報告書年度
2023
発行年月
2024/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
堀 康彦 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
椎名 健雄 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
土屋 弘昌 |
グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門 |
共 |
宮下 充史 |
グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門 |
共 |
本田 匠 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
伊藤 雅彦 |
エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門 |
共 |
真下 貴文 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
名雪 琢弥 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
石野 隆一 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
高橋 俊裕 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
ICT | Information and Communication Technology |
送電設備 | Transmission facility |
保守 | Maintenance |
遠隔監視 | Remote monitoring |
電源 | Power source |