電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD22027

タイトル(和文)

負荷線潮流に基づく負荷特性定数の推定精度向上に関する検討-日射量推定値を用いた純負荷算出方法の開発-

タイトル(英文)

A Study on Improvement of Accuracy of Load Model Parameter Identification by Measurement-based Approach -Development of Actual Load Calculation Method Using Solar-radiation Estimates-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
再生可能エネルギー電源の導入拡大により,負荷供給系統においては,負荷機器の消費電力(純負荷)に対する太陽光発電(PV)等の出力比率が増大している。また,負荷機器のインバータ化により,純負荷の系統擾乱時の電圧・周波数変動に対する自己制御性(負荷特性)1)が変化してきており2),負荷特性の実態に即した模擬が系統安定性評価において重要となっている。これまで,負荷特性定数3)は,様々な時間帯の負荷構成に対し,主に負荷線4)送り出し母線の実測データを用いて推定されてきた。しかしながら,近年,日中においてはPV出力を含む潮流(見かけ負荷)と純負荷との乖離による推定精度の低下が課題となっている5)。
目 的
負荷特性定数の推定精度を向上させるため,衛星画像に基づく日射量推定値とPV設備容量を用い,見かけ負荷から純負荷を算出する方法を開発・検証する。
主な成果
1. 見かけ負荷から純負荷を算出する方法の開発
負荷特性定数の推定の観点で負荷線潮流に含まれるPV出力を推定するためには,負荷線の広がり(最小単位で数km四方)とデータ計測時間(数10秒~数分程度)を考慮する必要がある。このため,ひまわり8/9 号に基づく日射量予測・解析システムSoRaFAS6)から得られる日射量推定値(1 km 四方,1 分間隔)と,PV 設備容量等7)を用いてPV 出力を推定し,これを見かけ負荷から差し引くことで純負荷を算出する方法を開発した(図1)。
2. 電力系統シミュレータを用いた開発方法の実験的検証
電力系統シミュレータにおいて,PV と純負荷を含む負荷線を構成し,日射量の変動(天候)が異なる代表的な5 日間を対象として,開発方法を検証した(図2)。その結果,開発方法を用いることで,負荷特性定数の推定精度が向上し,仮に見かけ負荷を用いて推定した場合と比較すると,推定誤差を大幅に(中央値で9 割以上,ばらつきで5 割以上)低減できること確認した(表1)。
今後の展開
実系統における実測データの分析による負荷特性定数の推定において,開発方法を適用し,課題を抽出するとともに必要に応じて改良を行う。また,負荷特性定数の推定用途向けにSoRaFAS の日射量推定の精度向上(例えば,積雲発生時の誤差低減に資する機能拡張等)を図る。

概要 (英文)

In recent years, voltage and frequency fluctuations following faults in power systems have increased due to the large-scale integration of renewable energy sources. It is recognized as an important issue that the influence of load characteristics on the power system stability, and it is important to clarify the actual characteristics. Conventionally, load model parameters have been identified using mainly measurement data of load feeders. However, with a large number of PVs, the accuracy of parameter identification has decreased due to the discrepancy between the net load with PV output and the actual load. From this perspective, specific measures to improve the accuracy of the parameter identification are needed.
Therefore, the authors developed a data preprocessing method that contributes to improving the accuracy of load model parameter identification by the measurement-based approach, which can extract actual load from measurement data of load feeders including PV output. A laboratory test in CRIEPI's power system simulator was conducted for the experimental validation of load model parameter identification using the developed data preprocessing method. This report clarifies the effectiveness of the developed method and summarizes future work to improve the accuracy of parameter identification.

報告書年度

2022

発行年月

2023/11

報告者

担当氏名所属

増田 宗紀

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

佐藤 勇人

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

橋本 篤

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

キーワード

和文英文
電力系統 Power system
負荷特性 Load characteristic
定数推定 Parameter identification
実測ベースの手法 Measurement-based approach
日射量 Solar-radiation
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