電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD22010
タイトル(和文)
家庭用エアコン選定支援ツールの開発 ―その3 多様な選定条件を迅速に反映できるエアコン選定手法の改良―
タイトル(英文)
Development of the tool assisting the selection of appropriate air conditioners -Part3 Improvements of the tool based on a calculation time reduction method capable of considering a variety of selection conditions in real time-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
当所では生活者の多様な住まい方に適したエアコンを簡易に選定できる家庭用エアコン選定支援ツール(以下、ツール)を開発し、一般向けにWeb 公開している。本ツールは2017 年の公開以来45 万回以上も利用されるなど好評を得ているが、最新の高断熱住宅や細かな気候条件への対応等の要望を受けており改良が必要である。ただし、条件設定を細かくするほど組み合わせ数が膨大になり計算に時間を要するため、改良にあたっては処理の高速化が求められる。
目的
多様な選定条件に対応しつつ、適切なエアコンを迅速に選定可能な手法を開発する。さらに選定結果の適切さを多数の条件設定により評価する。
主な成果
1. 多様な選定条件と計算時間短縮とを両立するエアコン選定支援ツールの開発地域特性や住宅性能などを細やかに反映可能とするためのツール改良を行った(図1)。主な変更箇所を以下に示す。
• 多様な気候条件に対応するため、対象地域を5 地点から全国842 地点に増やした。
• 従来の3 種類の断熱等級に加えて、より上位の等級2 種類を追加した。
• 選定対象室は、2 階以上の住宅における1 階や最上階だけでなく平屋も対象とした。
• 冷暖房の設定温度を、従来の各3 パターンから1◦C 刻みで自由に入力可能とした。
上記のように選定条件を多様化しつつ、一回の選定に要する計算量を数十分の1とし、標準的なPC を用いて8 秒程度で計算できる手法を開発した(図2)。
2. 予測結果におけるエアコン機種選定順位の検証
改良版ツールでは計算時間短縮のためにシミュレーションを省略しており、この省略が選定結果に影響しないことを確認する検証を行った。気象条件の異なる札幌と東京地域を対象として、各選定条件を変更した場合の予測誤差に起因するエアコン順位への影響を評価した(表1)。その結果、表2 の例に示すように平均絶対パーセンテージ誤差(MAPE)が大きい場合でも、スピアマンの順位相関係数注1)は0.97以上と高く、適切な順位を出力可能であることを確認した。
今後の展開
改良版ツールの実装に向けて、入力画面のインタフェースなど仕様検討を進める。
注1) 値の大小ではなく順位のみを用いて相関係数を求めたもの。1 に近いほど順位変動が少ないことを意味する。
概要 (英文)
The Air conditioner Selecting Support Tool (ASST) was developed in 2015 to recommend appropriate air conditioners (ACs) based on residents' different housing styles. ASST requires updating because of differences in current insulation and AC performance. However, the current ASST only supports a limited combination of specific conditions due to the large amount of annual AC load calculations required for selection, making it difficult to add or change conditions. Therefore, a method was developed to reduce the calculation time for predicting the annual heating and cooling power consumption based on the results of a short AC load calculation to update the ASST capable of considering a variety of conditions. The evaluation results showed that the calculated rankings among the 16 AC models were wrong in a small number of cases, indicating that the computation time for the purpose of ASST can be reduced with practical accuracy.
報告書年度
2022
発行年月
2023/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
服部 俊一 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
安岡 絢子 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
上野 剛 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
宮永 俊之 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
エアコン | Air conditioner |
エアコン選定支援ツール | Air conditioner Selecting Support Tool |
住宅特性 | Housing characteristics |
省エネ | Energy saving |
重回帰分析 | Multiple regression analysis |