電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD22001
タイトル(和文)
統計論的手法を用いた変電所の耐雷設計(その1) -耐雷設計の裕度の定量評価-
タイトル(英文)
Lightning Protection Design of Substations Based on Statistical Method (I) - Evaluation of Reliability of Lightning Protection Design of Substations-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
変電所の耐雷設計は,確定論的手法と呼ばれる考え方に基づいて行われる。これは,実用的な範囲で十分に過酷な雷撃によって発生する過電圧レベルに対して,絶縁破壊事故を防ぐという考え方である。現行の耐雷設計では,雷過電圧解析で過電圧レベルを求める際に,過電圧を過酷側に評価して十分な裕度を持たせることで高信頼度の耐雷設計を実現している。しかし,確定論的手法に基づく耐雷設計では,実際に設備を運用し,雷事故実績によって耐雷設計の妥当性を検証する必要があるため,その合理化は容易ではない。このため,耐雷設計の合理化には,確定論的手法と対をなす統計論的手法を用いて,現行の耐雷設計の裕度を定量的に評価する必要がある。
目 的
統計論的手法により求めた変電所の雷事故率を用いて,確定論的耐雷設計の雷過電圧解析の裕度を定量的に評価する。
主な成果
1. 現行の耐雷設計における裕度と雷事故率の関係性の整理
現行の耐雷設計で想定する過電圧レベルとその裕度の関係性について整理を行った。これにより,過電圧レベルを超えた場合を絶縁破壊事故と仮定した雷事故率によって耐雷設計の裕度を定量的に評価する方法を提案した。
2. 66 kVガス絶縁変電所モデルを対象とした確定論的耐雷設計の裕度の定量評価
上記の関係性に基づき,66 kVガス絶縁変電所モデルで第1鉄塔雷撃を対象として,現行の耐雷設計で想定する条件および実態に近い回路条件下で,雷撃電流値と波頭長をパラメータとした統計的な雷過電圧解析を実施した。これらの結果から,現行の耐雷設計で想定する過電圧レベルを超えた場合の発生確率の和として,雷事故率を算出した。
・現行の耐雷設計で想定する回路条件とした場合,雷事故率は21.0 %であった。これに対して,送電鉄塔における多相フラッシオーバの考慮や変電所回路構成を実態に近い回路条件とした場合の雷事故率は8.7 %であった。この結果から,実態に近い回路条件は耐雷設計で想定する回路条件に対して裕度があることを,雷事故率により定量的に評価できることを示した。
・上記で示した統計的な雷過電圧解析結果より得られた耐雷設計の裕度の定量的な評価(雷事故率)において,多相フラッシオーバや変電所回路構成などの回路条件の影響を受ける雷撃電流値や波頭長の大きさの把握が可能となった。
概要 (英文)
The current lightning protection design of substations is based on deterministic method and has resulted in few lightning accidents in substations. In this deterministic method, the equipment is designed so that it never breaks down for the overvoltage determined by the severe conditions. The validity of this method can only be confirmed by comparing it with the actual lightning accident rate. Therefore, it is not easy to rationalize the lightning protection design because of the risks involved.
In this paper, the reliability of lightning protection design using statistical method is described in order to study the rationalization of lightning protection design. Specifically, the lightning accident rate was calculated from the statistical lightning overvoltage analysis in which lightning current amplitude and wavefront duration change. Using this lightning accident rate, we estimated the reliability of lightning protection design. As a result, it was confirmed that assumed conditions in deterministic method were severely evaluated against 90% of the lightning.
報告書年度
2022
発行年月
2022/07
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
松本 洋和 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
新開 裕行 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
耐雷設計 | Lightning protection design |
変電所 | Substation |
雷過電圧解析 | Lightning overvoltage analysis |
統計的手法 | Statistical methods |
雷事故率 | Lightning accident rate |