電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD21034
タイトル(和文)
水力発電機固定子巻線の保守点検への機械学習手法の導入に向けた基礎検討―固定子巻線異常判定のためのデータベースの構築―
タイトル(英文)
Fundamental Study on Introduction of Machine Learning Technique to Maintenance and Inspection of Hydropower Stator Coil -Establishment of Database for Abnormality Identification of Stator Coil-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
水力発電機固定子巻線(以下,固定子巻線)は,運転中に熱・電圧・環境・機械ストレス等の複合ストレスに曝され,絶縁層が劣化し絶縁性能が低下するだけでなく,各種異常現象が発生する。これら異常現象は部分放電の発生を伴い絶縁破壊事故に進展する可能性があり,点検・診断等により的確に発見し,保守を行う必要がある。一方,近年,保守点検の現場において技術者の高齢化が進み,人員不足や技術継承が課題となっている。そのため,設備の保守点検に関する膨大なデータを機械学習により分析し,設備異常の兆候を自動検知し診断するシステムの導入が電力業界で検討されており,水力発電機の保守点検にもその導入が期待されている。
目 的
機械学習による固定子巻線の保守点検支援スキームを提案するとともに,その一要素として,異常がある固定子巻線で発生する部分放電のデータを蓄積したデータベースを作成する。また,このデータベースに基づき機械学習による異常判定を行うモデルを作成し,その性能評価を行う。
主な成果
1. 機械学習による固定子巻線の保守点検支援スキームの提案
機械学習による固定子巻線の保守及び更新計画策定に関する現場技術者の意思決定を支援するスキームを提案した。同スキームを利用することで,異常兆候の早期発見による設備トラブルの未然防止,診断および結果解釈等の自動化による将来的な人員不足の解消に役立つと考えられる。
2. 固定子巻線異常判定のためのデータベースの作成
機械学習による固定子巻線異常判定のためのデータベースを作成した。同データベースの作成にあたり,固定子巻線で生じる各種異常を模擬し,それらの試料の部分放電測定を行い,データを収集した。
3. データベースを用いた異常判定モデルの性能評価
作成したデータベースの一部を用いて,機械学習により固定子巻線異常判定モデルを作成し,その性能を評価した結果,80%以上の正答率で固定子巻線異常を判定できた。今後、より最適な機械学習法の選択,入力データの追加等により,正答率の向上が期待できる。
概要 (英文)
Accurate and efficient maintenance inspections are essential for the rational replacement of stator windings of aged hydropower generators. In practice, the accuracy of maintenance inspection depends on engineers' experience. The shortage of senior engineers due to the aging population is a big problem, and technology transfer has been an essential subject in Japan in recent years. Various industries are trying to introduce systems that study a large amount of maintenance and inspection data by machine learning technology and automatically diagnose equipment abnormalities. The machine learning technology can also be applied for maintenance and inspection of the stator winding to help engineers determine the maintenance measures. This report proposes a scheme to support maintenance inspection of the stator windings utilizing machine learning techniques. Furthermore, a database is developed which contains partial-discharge data measured at the stator coils, which simulate abnormalities in real stator windings. The accuracy of a diagnostic model based on the developed database is demonstrated.
報告書年度
2021
発行年月
2022/07
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
倉石 隆志 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
宮嵜 悟 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
水力発電機固定子コイル | Hydro Generator Stator Coil |
保守点検 | Maintenance and Inspection |
診断 | Diagnosis |
部分放電 | Partial Discharge |
機械学習手法 | Machine Learning Technique |