電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD21022
タイトル(和文)
送電用マンホールでの遠隔絶縁診断に向けた部分放電波形データの圧縮手法の開発
タイトル(英文)
Development of Data Compression Method of Partial Discharge Waveform for Remote Insulation Diagnosis in Manhole for Power Transmission Cable
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
地中送電設備では,電力ケーブルの中間接続箱や終端接続箱の経年による絶縁性能低下が懸念されている。絶縁破壊を未然に防止するため,その前駆現象である部分放電の継続的な測定が重要である。また,部分放電発生箇所の標定やノイズとの弁別には,部分放電波形を高時間分解能かつ対象設備の複数箇所で同時測定して比較評価することが必要である。一方,近年のデジタル化の進展に伴い,ITやセンサ技術等のICTを活用し,マンホール内の中間接続箱における部分放電測定を遠隔かつリアルタイムに行うことによる劣化の早期発見が期待されている。マンホール内はシステムの動作電源の確保が困難であるため,測定された部分放電波形データの地上への伝送に消費電力の小さな無線通信技術(Low Power Wide Area: LPWA)を適用することが検討されている。一方で,LPWAの伝送速度は低速であるため,部分放電波形データを適切に圧縮する必要がある。
目 的
マンホール内で測定された部分放電波形データを効率的に伝送するためのデータ圧縮手法を考案するとともに,手法の適用性を検証し,LPWAを用いたデータ伝送システムへ実装する。
主な成果
1. 効率的な部分放電波形データの伝送に向けたデータ圧縮手法の考案と適用性検証
部分放電発生箇所の標定やノイズとの弁別に必要な波形情報注 )を保持できるデータ圧縮手法を考案した。本手法ではデータの圧縮と復元にガウス過程回帰注 )を用いるものであり,圧縮されたデータから元の複雑な形状の波形を推定することができる。代表的な部分放電波形データ3種類に対して本手法を適用し,データ圧縮状況の評価を行った結果,波形Aでは8.6%,波形Bでは7.0 %,波形Cでは20.8 %までデータサイズを圧縮することができた。
2. データ圧縮手法のLPWAを用いたデータ伝送システムへの実装
部分放電波形データをLPWAで伝送するシステムを構築し,考案したデータ圧縮手法を実装した。このシステムを用いて部分放電波形データを伝送したところ,伝送時間を20%以下に短縮することができた。以上の検討より本システムの実現の見通しを得た。
概要 (英文)
Partial discharge (PD) measurement is considered to be one of dominant measures for insulation diagnosis of underground power transmission cable system. PD would be a sporadic phenomenon in its early stage, thus its continuous measurement is essential for its rapid understanding. The major PD source would be joints of cable system laid in manholes, which gives difficulties in transmission of measured PD data from manhole to an aboveground station. LPWA (Low Power Wide Area) technology can realize the data communication between inside manhole and the aboveground station, but its low data transmission speed brings the limitation of data transmission. Therefore, a data compression method with high efficiency is important for continuous PD measurement in a manhole. This report develops a data compression method for PD signals using Gaussian process regression to overcome the limitation of LPWA. The method could compress the PD data to a minimum of about 10% in its size and was confirmed that PD signal can be efficiently transmitted using the developed method.
報告書年度
2021
発行年月
2022/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
真下 貴文 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
高橋 俊裕 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
石野 隆一 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
堀 康彦 |
グリッドイノベーション研究本部 研究統括室 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
地中送電設備 | Underground power transmission facility |
マンホール | Manhole |
ICT | Information and communication technology |
LPWA | Low Power Wide Area |
部分放電 | Partial discharge |