電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD21020
タイトル(和文)
周波数変換所を活用した50・60 Hz系統間における広域負荷周波数制御の提案と実現に向けた効果検証
タイトル(英文)
Proposal and Effectiveness Verification of Cross-Regional Load Frequency Control between Non-Synchronous Power Systems using Frequency Converter Station
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
わが国では,負荷周波数制御(LFC)で用いられる二次調整力①(二次①)について,2026年度を目途に広域運用(広域LFC)の開始が予定されている1)。これまで当所では,既存直流設備の制約により,同期系統毎に広域LFCを行う方向で制御手法の検討を進めてきた2, 3)。一方,将来的に増設・リプレースされる直流設備については,広域LFCに活用できる可能性がある2)。
目 的
2027年度に増強予定の周波数変換所(FC)を活用した50・60 Hz系統間の広域LFC手法を提案し4),提案手法の効果検証や技術的な留意点の整理を,わが国の広域連系系統モデル5)を活用したシミュレーションにより行う。
主な成果
1. FCを活用した50・60 Hz系統間における広域LFC手法の提案
50・60 Hz系統間の広域LFCは,FCの潮流を,両系統間における二次①の融通量(補正量Z)を加味した目標値に制御することで実現する。FCの補正量Zについては,当所既提案の同期系統毎の広域LFC手法3)に基づき,以下の通り算出する(図1)。
・50・60 Hz系統全体での地域要求量(AR)を,エリア毎の二次①の出力変化速度の比率で各エリアに配分する。
・50・60 Hz系統全体での既LFC動作量6)を,二次①の平均単価が優位なエリアから順に配分する。ただし,周波数品質の維持・向上のため,同配分は出力変化速度および上記のAR配分量を考慮した範囲で行う。
・50 Hz系統におけるARおよび既LFC動作量の配分量の合計と,同系統で発生しているARと既LFC動作量の合計の差分を,FCの補正量Zとして算出する7)。
2. シミュレーションによるFCを活用した広域LFCの効果検証
50・60Hz系統間の広域LFCは,同期系統毎の広域LFCと比べて,周波数変動と二次①の発動量を概ね低減できることをシミュレーションにより明らかにした(図2)。この要因として,50・60 Hz系統間で逆方向に発生したARや既LFC動作量を相殺できることや,両系統の応答性に優れた二次①を活用できることが考えられる。また,周波数変動と二次①発動量の低減効果を向上するためには,広域LFC機能が補正量Zを送信してからFCが受信するまでの遅延時間を極力短くすることが望ましい。
注1) 「二次調整力①広域運用の検討状況について」,第18回需給調整市場検討小委員会 資料5,2020-8.
2) 「二次調整力①広域運用の現状活用案の検討状況について」,第10回需給調整市場検討小委員会 資料4,2019-3.
3) 徳光,天野:「周波数品質の維持・向上と二次調整力①の運用コスト低減を両立する広域LFC手法の提案」,電力中央研究所報告R20002,2021-4.
4) 50 Hz系統は東北・東京,60 Hz系統は中部・北陸・関西・中国・四国・九州を対象とした8エリア間の広域LFCを指す(北海道エリアは広域LFCの対象外)。
5) 徳光,天野:「全国10エリアの需給・周波数シミュレーションモデルの開発」,電力中央研究所報告R18003,2019-6.
6) 当該時点における二次①の発動量(kW)のこと。
7) 60 Hz系統向きの融通が正として算出される。なお,60 Hz系統の各諸量からFCの補正量Zを算出することも可能であり,その場合は50 Hz系統向きの融通が正となる(大きさは50 Hz系統の各諸量を用いて算出した場合と同一)。
概要 (英文)
In Japan, to ensure more efficient and economical operation of automatic Frequency Restoration Reserves (aFRR), cross-regional load frequency control (CRLFC) will be introduced in FY 2026, which involves the sharing and cooperation of aFRRs between control areas. The CRLFC will be performed for each synchronous system (east area power system of the 50 Hz and mid-west area power system of the 60 Hz) for the time being due to constraints of the DC interconnection system, such as frequency converter station (FC). However, The CRLFC between non-synchronous systems (NSS) can be realized by utilizing the DC interconnection systems to be expanded or replaced in the future.
In this study, we propose the CRLFC between NSSs using FC which will be expanded in FY 2027. The proposed CRLFC determines the aFRR interchange value between NSSs using two distributions to the east area power system and mid-west area power system, namely a pro-rata distribution of the net area control error (ACE) and a merit-order distribution of the net already activated aFRR. The FC controls the interchange power in accordance with the aFRR interchange value between NSSs. The simulation results show that the CRLFC between NSSs by using the FC can reduce the frequency deviation and the activation energy and activation cost of aFRRs compared to those in the CRLFC for each synchronous system.
報告書年度
2021
発行年月
2022/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
徳光 啓太 |
グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門 |
共 |
天野 博之 |
グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
二次調整力① | Automatic frequency restoration reserve |
広域運用 | Cross-regional cooperation |
周波数 | Frequency |
負荷周波数制御 | Load frequency control |
シミュレーション | Simulation |