電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD21017

タイトル(和文)

換気量の増加がエアコン冷暖房運転時の室内温熱環境とエアコンの消費電力に与える影響の評価

タイトル(英文)

Evaluation of the Effect of Increased Ventilation Volume on Indoor Thermal Environment and Air Conditioning Power Consumption during Heating and Cooling Operations

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
 感染症対策の一つとして、窓開けや換気扇等を利用した適切な換気が推奨されている。しかし、一般消費者は換気による室内温熱環境の悪化やエアコン消費電力の増加を懸念し、十分な換気を行わない可能性がある。適切な換気とエアコンによる良好な温熱環境の維持の両立を図るためには、換気量が室内温熱環境とエアコン消費電力へ及ぼす影響を適切な計算手法を用いて定量評価することが重要である。

目的
 換気量が室内温熱環境とエアコン消費電力へ及ぼす影響を当所開発の室内温熱環境設計ツールCADIEEで計算し、実測対比によりCADIEEの妥当性を検証する。さらに、戸建て住宅を対象に、換気量が異なる場合の室内温熱環境とエアコン消費電力を試算する。

主な成果
1. 実測対比によるCADIEEの妥当性の検証
 試験用住宅を対象に、換気量を変えた場合のエアコン冷暖房運転時のエアコン消費電力の実測値をCADIEEによる計算値と比較した。その結果、エアコン消費電力の平均相対誤差は20.3%となり、概ね一致した。これにより、CADIEEが計算手法として妥当だと判断した。

2. 換気量が異なる場合の室内温熱環境とエアコン消費電力の試算
 標準的な戸建て住宅の居間・食堂・台所を対象に、CADIEEによる試算を行った。換気条件については、台所の換気扇利用を想定した3ケースとした。この結果、エアコンの消費電力量は、換気による空調負荷の増加に伴い上昇し、換気量220.3[m3/h]では冷房1割・暖房2割程度の増加、換気量440.7[m3/h]では冷房3割・暖房6割程度の増加となった。一方で、室内温熱環境は換気量に関わらず設定温度に維持された。
 今回の試算条件は換気量220.3[m3/h]で厚生労働省が推奨している必要換気量を満たしていることから、上記程度の消費電力量の増加で室内温熱環境をエアコンの設定温度に維持できることが示唆された。

概要 (英文)

Proper ventilation with window openings and exhaust fans is recommended as one measure to prevent infection. However, the general public may not be able to provide adequate ventilation due to concerns about the deterioration of the indoor thermal environment and the increased power consumption of air conditioners caused by ventilation. Therefore, the indoor thermal environment and air conditioner power consumption for various ventilation volumes are estimated using the indoor thermal environment design tool of CADIEE. First, the validity of CADIEE under conditions of increased ventilation is verified. Comparing the measured air conditioner power consumption to the CADIEE of calculation, the average relative error is 20.3%, indicating that CADIEE is valid as a calculation method. Next, we performed calculations for the LDK room of a standard single-family home. The results show that air conditioning power consumption increased by about 10% for cooling and 20% for heating under ventilation conditions of 220.3[m3/h] and by about 30% for cooling and 60% for heating under ventilation conditions of 440.7[m3/h]. The indoor thermal environment was maintained at the set temperature regardless of ventilation conditions.

報告書年度

2021

発行年月

2022/04

報告者

担当氏名所属

安田 昇平

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

上野 剛

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

岩松 俊哉

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

宮永 俊之

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

キーワード

和文英文
エアコン Air Conditioner
換気 Ventilation
消費電力 Electric Power Consumption
室内温熱環境 Indoor Thermal Environment
シミュレーション Simulation
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