電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD21014
タイトル(和文)
難着雪リングが及ぼす直流コロナ特性への影響 -コロナケージを用いた実験的検討-
タイトル(英文)
Study on DC Corona Characteristics of Snow Resistant Rings -Experimental Study Using Corona Cage-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景:
近年,架空送電線の建設においては,環境への配慮が求められており,直流送電線の設計の際には,電線から発生するコロナ放電に伴うコロナ騒音や,イオン流に起因する線下物体の帯電電圧等の電気環境的要因も考慮する必要がある。当所ではこれまで標準電線を対象として,直流送電線の電気環境的要因の予測計算手法(直流電気環境予測計算プログラム)を開発してきた。しかし,この予測計算手法は,雪害対策用の難着雪リングを装着した直流送電線に対して適用できないため,その対応が望まれている。
目的:
コロナケージ試験より,難着雪リングを装着した標準電線の直流コロナ特性を明らかにし,難着雪リングを装着した標準電線に直流電気環境予測計算プログラムを適用するために,コロナケージ試験結果からKb値を推定する。
主な成果:
1.コロナケージ試験による難着雪リングを装着した標準電線の直流コロナ特性の解明
塩原実験場のコロナケージを用い,標準電線(ACSR810mm2)の単導体に難着雪リングを90cm間隔で装着したケースについて,コロナ電流とコロナ騒音,ラジオ雑音の測定を行い,コロナ放電の発光の様子も観測した。コロナ放電は難着雪リングを装着した箇所から発生しやすく,コロナ電流の絶対値は,負極性よりも正極性の電圧を課電した条件のほうが,大きくなることを明らかにした。
2. コロナケージ試験に基づく直流電気環境予測計算プログラムに用いるKb値の推定
コロナケージ試験から得られたコロナ電流のGmax特性を用い,標準電線に難着雪リングを装着したケースについて,直流電気環境予測計算プログラムでの予測計算に必要なKb値を算出した。この結果, Kb値の,統計量の平均値は「48.1(正極性),1.4(負極性)」, 50%il値は「38.9(正極性),1.1(負極性)」と推定された。過去の検討で導出されたKb値(標準電線と,標準電線にスパイラル線を装着したケース)について,極性による差はなかったが,難着雪リングを装着したケースでは,負極性よりも正極性の電圧が課電された場合, Kb値が大きく,コロナ放電が発生しやすい状態になることがわかった。
概要 (英文)
An ion flow occurs by corona discharge generated from charged conductor of DC transmission line. Since the ion flow may charge on object under DC transmission line, it is necessary to predict it in advance.
In this report, a corona cage test was conducted in order to develop a prediction method of DC electric environment factors of conductor with snow resistant rings. From the corona cage test results, it was clarified that the corona current was larger when the positive voltage than the negative voltage was applied. In addition, a coefficient indicating the state of occurrence of corona discharge from conductor was calculated from the measurement results of the corona current. It was clarified that when a positive voltage was applied, a conductor with snow resistant rings was apt to generating corona discharge than a conductor wrapped with spiral wires.
報告書年度
2021
発行年月
2022/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
宮島 清富 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
共 |
椎名 健雄 |
グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
直流送電 | DC power transmission |
架空送電線 | Overhead transmission lines |
イオン流帯電 | Ion flow electrification |
コロナ放電 | Corona discharge |
予測手法 | Prediction method |