電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD21012

タイトル(和文)

電源脱落時における地点毎の周波数変化率の高速概算法

タイトル(英文)

A simple method of computing the rate of change of frequency at each node in loss of generation

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
今後,インバータ連系電源の更なる導入拡大が見込まれており,系統に並列される同期機が減少して系統の慣性が減少し,電源脱落時の周波数変化率(RoCoF)の増大が懸念されている。RoCoFが過大となるとインバータ連系電源が解列し,周波数が更に大きく低下する恐れがある。インバータ連系電源導入拡大時の周波数安定性解析には連系点毎のRoCoFを求める必要があり,過渡安定度シミュレーション(当所Y法等)で求めることもできるが1),実際の様々な系統断面の検討には多大な計算労力を要するため,地点毎のRoCoFの効率的な算出が課題となっている。
目  的
電源脱落時における地点毎のRoCoFの高速概算法を開発し,妥当性を検証する。
主な成果
1. RoCoFの高速概算法の開発
高速に短絡電流を算出可能な短絡容量計算プログラム(当所T法)を拡張し,電源脱落直後における,各発電機の回転速度の変化率RoCoFGおよび各ノードの電気的な周波数の変化率RoCoFNを,以下の手順で簡易的に計算する手法を開発した(図1)。
① 電源脱落地点で三相短絡が生じた際に各発電機が供給する短絡電流を算出。
② 算出した短絡電流の比を用いて電源脱落直後の各発電機の出力増加分ΔPiを算出。
③ 発電機の運動方程式にΔPiを代入して各発電機のRoCoFGを算出。
④ 各ノードのRoCoFNは,各ノードと各発電機の電気的距離の逆数で重み付けした各発電機のRoCoFGを加算することにより算出2)。
本手法は電圧の変化による負荷の変化等を無視して簡易的にRoCoFを計算するものであるが,Y法と比較して計算労力が小さく3),様々な系統断面におけるRoCoFを効率良く評価できる。また,実際には電源脱落直後には電圧が低下し負荷が減少することが多いため,本手法は悲観サイド4)の結果が得られる傾向と考えられる5)。
2. RoCoFの高速概算法の妥当性検証
電気学会WEST30機系統軽負荷モデルにおいて電源脱落時のY法シミュレーション結果と高速概算法の結果を比較した。その結果,両者の結果は概ね一致し,高速概算法の結果はY法結果に対して悲観サイドとなる傾向を確認した(図2,図3)。周波数安定性が問題となる系統断面のスクリーニング等への活用が期待できる。

概要 (英文)

In Japan, the installation of inverter-based resources (IBR), such as solar and wind power, is expected to increase. As the number of synchronous machines decreases and the inertia decreases, the rate of change of frequency (RoCoF) becomes larger during the loss of large-scale generation. If the RoCoF becomes too large, the IBR will be disconnected from the grid, causing an even larger decrease in frequency. To analyze this, the RoCoF needs to be determined for each node of the interconnection of the IBR, and the simulation is performed using a transient stability analysis program. However, it takes a lot of time to perform the analysis under various conditions. Therefore, we propose a simple method to compute the RoCoF at each node. The method first calculates RoCoFg for the rotor speed by using the fact that the increase in output of each generator during generator loss is proportional to the fault current of each generator during the short circuit fault. The RoCoFn of each node is calculated by adding the RoCoFg of each generator weighted by the reciprocal of the electrical distance between each node and each generator.

報告書年度

2021

発行年月

2022/07

報告者

担当氏名所属

会田 峻介

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

天野 博之

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

キーワード

和文英文
周波数変化率 Rate of Change of Frequency
慣性 Inertia
再生可能エネルギー Renewable Energy
電力系統 Power System
短絡容量計算 Short Circuit Current Calculation
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry