電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD21007
タイトル(和文)
全国町丁字別のPV導入量を考慮した地域レベルの電力需要カーブの推定手法の構築
タイトル(英文)
Development of a method for estimating electricity demand curves at the regional level considering the amount of PV installed in each town in Japan
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
近年、太陽光発電設備(PV)の導入が進み、需要カーブ1)に大きな影響を与えている。脱炭素の推進や地域グリッドの普及に向けてPVの普及は今後も進むと考えられるが、電力供給の信頼性確保や効率的な脱炭素の推進のためには、町丁字等の詳細な地域レベルでのPV発電量や、PV発電量を考慮した需要カーブの推定を行う必要がある。
目 的
FIT認定情報2)の非住宅用のPV導入量に関する公開データを地域別に整理し、地域レベルでのPV発電量及び需要カーブの推定手法を構築する。またPV大量導入地域を対象に試算を行う。
主な成果
1.地域レベルでのPV発電量及び需要カーブの推定手法の構築
FIT認定情報の住所を正規化・集計し、都道府県・市区町村・町丁字レベルの年別の非住宅用のPVの累積導入量を整理した。PVの導入量は地域によって大きく異なっており、PVが最も多く導入されているのは世帯密度が100軒/km2程度の市区町村であることが分かった(図1)。世帯密度が高い都市部では設置できる地点が少なく、また山間部等の非常に低い地域でも導入されにくいと考えられる。
また上記に整理した地域別のPV導入量と、当所開発の需要シミュレーションツール3)中の単位容量あたり発電量推定機能を用いて、地域内のPV発電量カーブの推定手法を構築した(図2)。本手法によるPV発電カーブと、既往ツールで算出される住宅・事業所の消費電力カーブを合成することによって、地域全体の需要カーブを推定することが可能となる。
2.PV大量導入地域を対象とした需要カーブの試算
群馬県内の全2,400余の町丁字を対象に電力需要カーブの試算を行った4)。図3にPV導入前(2012年)に対するPV導入後(2021年)の比率を示す。前橋市や高崎市の中心部等、元々の需要が大きくPVが導入されにくい地域では変化が小さく(暖色)、郊外地域で変化が大きかった(寒色)。また群馬県内の複数の町丁字におけるPV導入量に基づき需要カーブを試算したところ(図4)、2012年には朝から日中にかけてピークがあったが、PVの導入によって徐々に昼間の需要が下がり、地域によっては2020年には昼間の需要が逆潮流側に大きく振れることが示された。
今後の展開
地域を対象とした脱炭素や地域グリッドの導入シナリオに関する定量分析を行う。
概要 (英文)
In recent years, the installation of PV power generation systems has been increasing and has had a significant impact on the electricity curve. To promote decarbonization and the spread of regional grids, PV installations are expected to continue to grow in popularity. To ensure reliability of electricity supply and promote efficient decarbonization, it is necessary to estimate PV generation at the regional level in detail, such as towns and villages, and demand curves that take PV generation into account. In this study, public data on non-residential PV installations were organized by region and compiled into a database. And a method for estimating electricity demand curves at the regional level considering the amount of PV installed was developed. Finally, calculations were conducted for areas with large PV installations.
報告書年度
2021
発行年月
2022/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
上野 剛 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
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太陽電池発電 | Photovoltaic System |
電力需要 | Electric Power Demand |
統計データ | Statistical Data |
地理情報システム | Geographic Information System |