電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD21003

タイトル(和文)

PV余剰電力活用のための複数台の家庭用ヒートポンプ式給湯機の連携運転計画法の提案と評価

タイトル(英文)

Development and Evaluation of an Operation Planning Method for Multiple Residential Heat Pump Water Heaters for Effective Use of Surplus PV Power

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
近年、太陽光発電(PV)の普及拡大が進み、多量の逆潮流による電圧上昇や配電線設備容量の不足などの問題が生じている。この解決策の一つとして、家庭用ヒートポンプ式給湯機(HP式給湯機)を活用した余剰電力の自家消費が注目されている。ただし、現状は主として個別の戸建住宅が対象となっており、集合住宅やマイクログリッドなどを対象に,余剰電力を複数世帯で融通しながら自家消費する方法は十分検討されていない。

目的
複数台のHP式給湯機を連携し、PV余剰電力を効果的に自家消費する方法を提案する。また、実需要家のデータを用いた数値実験により提案手法の有効性を評価する。

主な成果
1. PV余剰電力を活用する複数台HP式給湯機の連携運転計画法
複数世帯で余剰電力を効果的に自家消費するために、複数台のHP式給湯機を連携運転する計画手法を考案した。提案手法では、1日の起動回数の上限や放熱ロス、湯切れ防止など、HP式給湯機特有の制約を考慮した上で、需要家側の電気代負担は最小限に留めつつ、自家消費を最大限に増やすような連携運転計画を作成する(図1)。複雑な制約条件を考慮した最適化が行えるよう、計画作成には代表的なメタヒューリスティックの一つである遺伝的アルゴリズムを採用した。
2.余剰電力の有効活用に対する提案手法の有効性評価
提案手法の有効性を評価するため、3 世帯で一つのPV 出力を共用するなど、表1に示す限定的な条件下で数値実験を行った。実験では、余剰電力が発生しやすい5月の快晴日を想定し、日射量を所与として、1 日分の運転計画を作成した。その上で、実需要家の電力需要データおよび給湯需要データを用い、提案手法で作成した連携運転計画を評価した。その結果、各世帯を個々に最適化する場合に比べ、3 世帯の電気代負担は同等のままに、最大逆潮流を3.11kW から2.10kW に削減でき、作成した連携運転計画の有効性を確認した。

今後の展開
様々な季節、天候、多様な需要パターンをもつ世帯を組み合わせるなど,より現実的な条件下で連携運転の有効性を詳細に検証する。

概要 (英文)

In Japan, a number of houses that installed a photovoltaic power system has been increased. Because of a concern about power system load by reverse power flow, self-consumption of surplus photovoltaic power by heat pump water heaters (HPWHs) in the houses has attracted attention. In the case such as a multiple dwelling, where the surplus power from one photovoltaic power system can be shared by several houses, it is expected that cooperative operation of multiple HPWHs leads a long-time and/or a large amount of absorption of the surplus.
In this report, we propose an operation planning method for multiple residential HPWHs. The method can derives cooperative operation plan that reduces electric bill and reverse power flow as much as possible under the specific conditions inherent in HPWHs, by using the genetic algorithm. The conditions include the startup losses, the dissipation loss, the limitation of storage tank volume and ensuring the minimal storage of hot water. Through a numerical experiment with actual demand data, we found that a cooperative operation plan of three HPWHs derived by the proposed method enables to suppress maximum reverse power flow from a 4kW overloaded photovoltaic system to 2.10 kW, although it is 3.11kW when operation of the three HPWHs is planned independently each other.

報告書年度

2021

発行年月

2022/04

報告者

担当氏名所属

石川 歩惟

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

所 健一

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

キーワード

和文英文
ヒートポンプ式給湯機 Heat pump water heater
太陽光発電 Photovoltaic power generation
集合住宅 Multiple dwelling
最適化システム Optimization system
遺伝的アルゴリズム Genetic algorithm
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry