電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
EX23002
タイトル(和文)
原子炉配管の破断前漏えい蒸気量計算 プログラムの開発
タイトル(英文)
Development of a program to calculate the amount of steam leakage from nuclear reactor piping under the leak before break event
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
配管の蒸気漏えいを検知することで大規模な破断が生じる前の貫通亀裂を検知する破断前漏えい(LBB)の成立性を評価する規格注 )が策定されているが、同規格は疲労亀裂が対象となっている。一方で、米国ではPWSCC注 )のLBB成立性を評価するため、確率論的破壊力学(PFM)注 )による検討が行われており、国内でも応力腐食割れ(SCC)に対するLBB成立性の検討が行われるなど、SCCに対するLBB評価法の開発が要望されている。このような状況の下、当所では、原子炉配管のPFM解析コードPEDESTRIAN[1]を開発したが、同コードには、蒸気漏えい量を計算する機能がなく、漏えい検知による破損確率の変化を評価できなかった。一方、国外のPFM解析コードには、LEAPOR注 )等の疲労亀裂やSCCからの蒸気漏えい量を評価するプログラムを有しているものが有るが、これらは第三者の開発したプログラムで使用されることを想定していないため、PEDESTRIANには使用できなかった。
目 的
当所開発のPEDESTRIANで活用可能な蒸気漏えい量計算プログラムを開発する。
主な成果
1. 蒸気漏えい量計算プログラムの開発と検証
米国で開発された蒸気漏えい量計算プログラムLEAPORに関する文献とLEAPORによる蒸気漏えい量計算時の出力データをもとに、PEDESTRIANのための蒸気漏えい量計算プログラム(以下、LEECPIPE注 ))をFORTRAN90言語で開発した(図1)。同一条件下で亀裂開口面積をパラメトリックに変更した場合のLEAPORとLEECPIPEの計算結果の相対誤差は最大で約1.8%でよく一致し(図2)、LEECPIPE はLEAPORと同程度の精度での漏えい量計算が可能である。
2. 実験データとの比較(SQUIRTおよびLEAPORとの比較)
米国Battelle Columbus研究所が開発したSQUIRTの文献注 )に記載の実験内容(表1)を再現する解析をLEAPORとLEECPIPEの両者で実施し、実験結果ならびにSQUIRTによる計算結果と比較した(図3)。その結果、実験結果との最大相対誤差はSQUIRTとLEAPORの両方において約33%であるのに対し、LEECPIPEでは約17%となった。このことはLEECPIPEにより実験結果を精度良く再現できる可能性を示している。
概要 (英文)
The Central Research Institute of Electric Power Industry (CRIEPI) has developed a probabilistic fracture mechanics (PFM) code "PEDESTRIAN" for nuclear reactor piping. Unfortunately, the current code does not have a function to calculate the amount of steam leakage at the time of an event, that is one of effective indicators to determine the severity of the event. On the other hand, some foreign PFM codes developed for similar purpose have the function to evaluate the amount of steam leakage in the form of subroutines or dedicated subprograms. Therefore, we originally developed "LEECPIPE" to calculate the amount of steam leakage during an event with reference to similar foreign code LEAPOR. Then, verification analyses were performed for both LEAPOR and LEECPIPE to reproduce the experiment described in the reference for another program, SQUIRT, and those were compared with the experimental results and the SQUIRT calculations. As a result, the maximum relative error was approximately 33% for SQUIRT and for LEAPOR, whereas the maximum relative error was approximately 17% for LEECPIPE.
報告書年度
2023
発行年月
2024/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
永井 政貴 |
エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門 |
共 |
酒井 高行 |
エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
蒸気漏えい量計算 | Steam Leakage Amount Calculation |
原子炉配管 | Nuclear Reactor Piping |
破断前漏えい | Leak Before Break |
熱水力解析 | Thermal Hydraulic Analysis |
決定論的評価 | Deterministic Evaluation |