電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
EX22009
タイトル(和文)
高温機器のクリープ寿命に対する負荷変動の影響-第2報:損傷力学に基づく負荷変動下での改良9Cr-1Mo鋼のクリープ変形モデルの検討-
タイトル(英文)
Effect of Variable Loading on Creep Life of High Temperature Components - 2nd Report: Creep Deformation Model Based on Damage Mechanics for Mod. 9Cr-1Mo Steel under Variable Loadings -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
超々臨界圧火力発電プラントは、ベースロード電源として定格運転が想定され、定常運転時のクリープ損傷を主体に健全性評価が実施されてきた。近年、再生可能エネルギーが大量導入される中、起動・停止や部分負荷運用が増大する傾向にある。さらに、運転中に地震等による過大荷重が重畳される場合も想定される。当所では、プラントの運転形態の変化に伴う負荷履歴を想定する繰返し負荷および反転負荷、または地震による過大荷重を想定する過大負荷が、改良9Cr-1Mo 鋼のクリープ特性に及ぼす影響を実験的に明らかにしてきたが、クリープ変形や寿命を良好に予測できる手法が求められている。
目的
繰返し負荷、反転負荷、および過大負荷下での改良9Cr-1Mo鋼のクリープ変形データを用いて、各材料定数の物理的な意味が明確な、損傷力学に基づくクリープ変形モデルを検討する。
主な成果
(1) 損傷力学に基づく既存モデルの改良
定荷重下でのクリープ変形データをもとに、関連文献における1次クリープ、サブグレインの変化、およびボイドの発生・成長を適切に反映できるように、モデルを改良した。550℃、600℃および650℃における100時間から最長破断時間以外のデータを用いてモデルの定数を決定し、それより長時間の変形を外挿した。その結果、650℃以外のクリープ変形について、改良モデルによる予測クリープひずみは、先行研究のクリープひずみ式と同等以上の精度で推定できた。
(2) 負荷変動下でのクリープ変形への適用
改良モデルに繰返し負荷後のサブグレインの変化、反転負荷および過大負荷によるサブグレインの変化による損傷の速度変化を考慮する定数を組み込み、改良モデルを各負荷変動下でのクリープ変形に適用した。本研究で検討した試験条件下において、同モデルは繰返し負荷後のクリープ変形、反転負荷または過大負荷を有するクリープ変形を概ね適切に表現することができた。
今後の展開
各負荷形態下での、クリープ試験中のミクロ組織観察を実施し、改良モデルで取り込んだ組織変化およびボイド発生・成長の発展式を検証するとともに、実機の長期使用材への適用性を検討する。
概要 (英文)
This report presents a modified creep deformation model based on the damage mechanics for Mod. 9Cr-1Mo steel under variable loading, including prior cyclic loading, reversed loading and over loading, which are assumed to occur in the actual operation of thermal power plant. A modified damage model was developed to take account the effect of temperature on primary creep, the effects of temperature and stress on damage due to change in subgrain, and consideration of void formation after a certain strain. In addition, the modified model was applied to the variable loadings by incorporating constants to account for changes in dislocation and subgrain after cyclic loading, and change in subgrain damage rate due to reversed loading and over loading. The proposed models can accurately predict the creep deformation behavior after cyclic loading, the creep deformations with reversed and over loadings as well as the creep deformation under constant loading.
報告書年度
2022
発行年月
2023/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
恒本 芳樹 |
エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門 |
共 |
張 聖徳 |
エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
火力発電プラント | Thermal power plant |
改良9Cr-1Mo鋼 | Modified 9Cr-1Mo steel |
クリープ | Creep |
負荷変動 | Variable loading |
損傷 | Damage |