電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX22006

タイトル(和文)

配管用の確率論的破壊力学解析コードPEDESTRIANの整備 ―亀裂進展に関連した評価手法の実装―

タイトル(英文)

Improvement of Probabilistic Fracture Mechanics Evaluation Code PEDESTRIAN for Piping - Implementation of evaluation methods for crack propagation -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
確率論的破壊力学(PFM)注 )は,原子力機器の構造健全性を定量的且つより合理的に評価できる手法として国内外で注目されている.米国では既に圧力容器に対してPFMに基づく健全性評価が行われており,また配管を対象とする評価コードxLPR注 )の開発,公開もNRC注 )主導で進められている.xLPRは加圧水型軽水炉の一次冷却水中応力腐食割れを考慮した配管系のLBB注 )の成立性評価を目的としており,V&V注 )を経て規制業務に用いられるものと目される.また,xLPRと共通する評価モジュール注 )を有し,xLPRよりも計算が速いPROLOCAの整備も進められている.しかしながら,我が国のプラントの評価には,これらの米国コードはそのまま適用できず,国内事情に応じた独自コードの開発が必要である.このため当所では配管PFM解析コードPEDESTRIAN注 )を開発してきた.応力腐食割れのLBB評価のような米国知見も国内の評価体系に適用していくためには,xLPRの評価モジュールに採用されている評価手法を実装した解析コードが必要である.

目  的
xLPRの主な評価モジュールに採用されている評価手法のうち,最新知見を反映した手法を選定し,それらをPEDESTRIANに実装する.また,試計算を通じて評価モジュールの動作検証を行う.

主な成果
1. xLPRの主な評価モジュールに採用されている評価手法のPEDESTRIANへの実装
xLPRの主な評価モジュールに採用されている評価手法のうち,最新知見を反映した手法として,溶接残留応力(WRS)分布,表面亀裂の進展,及び貫通亀裂の進展に関する評価手法を選定し,それらをPEDESTRIANに実装した(表1).
2. 試計算による評価モジュールの動作検証
試計算では,亀裂発生時間,初期亀裂寸法,亀裂進展速度,及びWRS分布を確率変数として扱い,配管内面に発生した表面亀裂の進展,貫通,貫通亀裂の進展,配管破断を解析した.得られた亀裂貫通確率及び配管破断確率をxLPRと同等の結果が得られるPROLOCAの結果と比較したところ,両コードでよく一致した(図1).WRS分布と表面亀裂の進展に係る評価手法は亀裂貫通確率に,貫通亀裂の進展に係る評価手法は配管破断確率に影響するため,実装した手法が組み込まれた評価モジュールが正しく動作していることが確認できた.

概要 (英文)

Probabilistic fracture mechanism (PFM) is recently featured as a promising technology for quantitative and reasonable structural integrity evaluation method for nuclear components. United States of America is leading the scene from code development to its implementation into regulatory requirement. U. S. Nuclear Regulatory Commission and EPRI are developing a PFM code named xLPR for evaluation of leak-before-break of primary water stress corrosion cracking. The xLPR has recently been released for institutions outside the US, but its computation speed is slow. A PROLOCA code consists almost the same modules as the xLPR and calculates faster than the xLPR. These codes were developed in accordance with U. S. regulatory requirement. CRIEPI has developed a PEDESTRIAN code for structural integrity assessment of piping in Japanese plants. In order to apply PFM to structural integrity assessment, an analysis code is necessary to establish Japanese evaluation system with reference to leading U. S. perception. In this study, we investigated the evaluation methods on the xLPR, and implemented the methods, which are considered to be important, on the PEDESTRIAN. The deterministic and probabilistic analyses were conducted by using the updated PEDESTRIAN, and then these results were compared with those obtained by PROLOCA. Consequently, the deterministic and probabilistic results were in good agreement with each other.

報告書年度

2022

発行年月

2023/04

報告者

担当氏名所属

永井 政貴

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

酒井 高行

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

山本 真人

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

キーワード

和文英文
確率論的破壊力学 Probabilistic Fracture Mechanics
構造健全性評価 Structural Integrity Assessment
破断前漏えい Leak Before Break
応力腐食割れ Stress Corrosion Cracking
溶接残留応力 Weld Residual Stress
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry