報告書番号

EX21011

タイトル（和文）

鋼材の大気腐食における急速汚損の影響評価

タイトル（英文）

Evaluation of the effect of rapid contamination on the atmospheric corrosion of steel

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

背　景
送電鉄塔に使用される鋼材は、大気環境中の塩分や水分を原因とする大気腐食により減肉することが懸念される。周囲を海で囲まれている我が国では、海塩の飛来により鋼材の腐食が促進される。特に台風や強風といった気象イベントは、多量の海塩付着を送電鉄塔にもたらし、著しく大気腐食を進行させる。気象イベントは年によって発生回数や被害状況が異なるため、年毎の腐食速度のばらつきを生じさせ、短期の腐食試験から長期の腐食量を推測する際の誤差の原因となり得る。そのため、気象イベントによりどの程度腐食が進行するのかを評価することにより、各年のばらつきを検討することが可能となり、送電鉄塔を維持管理する上で重要な情報となり得る。

目　的
台風常襲地域である沖縄県において鋼材を対象とした大気腐食試験を実施し、大気腐食モニタリングセンサ（以下ACMセンサ）出力による腐食量経時変化から、通年における気象イベントの大気腐食への寄与を評価する。

主な成果
1. 海塩付着量および腐食量の評価
沖縄県の海岸から約500 mの位置に設置した、東西南北4方位向きのACMセンサ出力から海塩付着量を算出した。ACMセンサデータの解析には、当所で開発した解析プログラム「ACSESS」を用いた。図中に示す台風接近日および強風日に海塩付着量が多くなる傾向が見られた。2019年台風17号接近時に東向きセンサでのみ海塩付着量が多くなった。この海塩付着量の急増は、同台風通過時に東向きの強風が卓越していることと符合した。またACMセンサ出力から算出した累積腐食量変化において、台風時および強風時に腐食量が大きくなった。同台風接近時には、東向きセンサが105 マイクロメートル/年の大きな腐食速度を示した。
2. 気象条件による腐食量変化
年間の腐食量は台風日が約9%、強風日が約18%を占めた。1日当たりの腐食量は、台風日は非強風日（台風日および強風日以外の日）の3.2倍、強風日は1.7倍となり、台風および強風と大気腐食速度との関連が見出された。

概要 （英文）

Time variation of corrosion amount of steel was measured to evaluate the effect of rapid contamination due to typhoon and strong wind using atmospheric corrosion monitoring (ACM) sensor. It is well known that the rapid contamination promotes the adhesion of sea salts to the transmission tower. Daily corrosion was categorized by three conditions: the typhoon days (typhoon was observed within 300 km), the strong wind days (typhoon was not observed but the maximum wind speed was 10 m/s and stronger), and the other days. The ratios of amount of corrosion on the typhoon day and the strong wind day to the other day were 4.3 and 2.2, respectively. It has been demonstrated that the atmospheric corrosion of steels is dominantly affected by strong wind under the marine environment.

報告者

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