電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX21003

タイトル(和文)

高温機器のクリープ寿命に対する負荷変動の影響-第1報:負荷変動下での改良9Cr-1Mo鋼のクリープ変形および破断特性-

タイトル(英文)

Effect of variable loading on creep life of high temperature components-1st report: Creep deformation and rupture properties of Mod. 9Cr-1Mo steel under variable loadings

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
改良9Cr-1Mo鋼は,蒸気温度600℃級の超々臨界圧(USC)発電プラントの大径管に広く使用されている.これまでUSC発電プラントはベースロード電源として定格運転を想定し,定常運転時のクリープ損傷を主体に健全性評価が実施されてきた.しかし,再生可能エネルギーが大量導入される中,出力調整用に多くのプラントが起動・停止の高頻度化や部分負荷運用を余儀なくされ,これらの運転形態変化に伴う負荷履歴によってクリープ特性が変化する可能性がある.また,プラントの運転中に地震などによる偶発的な過大荷重が負荷される場合,材料のクリープ特性が変化し,初期特性に基づく手法では寿命を的確に評価できない可能性がある.
目的
改良9Cr-1Mo鋼のクリープ変形および破断特性に及ぼす負荷変動の影響を把握するとともに,これらの影響を考慮する損傷評価法を検討する.
主な成果
改良9Cr-1Mo鋼の新材および2種類の長期使用材(A2材,Q2材)を対象に,実機プラントにおける起動・停止の高頻度化による負荷反転と地震による過大荷重を想定し,反転負荷と過大負荷下でのクリープ試験を実施し,以下の知見を得た.
(1) 一定応力下でのクリープ試験中反転負荷が加えられると,変形速度は通常クリープ[1]より速くなり,早期に加速した.また,一定大きさ以上の過大負荷を与えると,その後のクリープ変形が加速された(図1).
(2) いずれの材料のクリープ破断時間も反転負荷によって低下するとともに,反転負荷の頻度が高い程,寿命低下率が大きかった(図2).また,過大負荷が小さい場合,クリープ破断時間は通常試験と有意な差がなかったが,一定大きさ以上の過大負荷を与えると,クリープ破断時間が大きく低下した(図3).
(3) 既存のクリープ疲労損傷則である時間消費則による評価では,破断時のクリープと疲労の累積損傷値はASMEの評価線の内側で整理され,累積損傷値が同評価線に達する時の予測寿命は実験寿命より短くなる(図4).本研究では負荷変動の影響を負荷反転の周波数と追加ひずみの関数として定量化する損傷評価法を提案(図5)し,実験寿命を概ね係数2の範囲で良好に予測することができた(図5).
今後の展開
反転負荷の大きさや過大負荷の頻度の影響を定量化し,寿命評価法をより精緻化する.

概要 (英文)


報告書年度

2021

発行年月

2022/04

報告者

担当氏名所属

張 聖徳

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

高橋 由紀夫

名誉研究アドバイザー

キーワード

和文英文
火力発電プラント Thermal power plant
改良9Cr-1Mo鋼 Mod. 9Cr-1Mo steel
クリープ Creep
負荷変動 Variable loading
過大負荷 Over loading
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