電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
C20015
タイトル(和文)
需給運用で用いる残余需要予測の高精度化に関する基礎検討-複数の残余需要予測式の比較評価-
タイトル(英文)
A Study on Improving the Accuracy of Residual Demand Forecasting- Comparative Evaluation of Multiple Residual Demand Forecasting Formulae -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
太陽光発電(PV)の普及拡大に伴い、需要からPV出力を差し引いた残余需要を高精度に予測することが一層重要となって求められている。この予測には、需要予測値からPV出力予測値を差し引く予測式(基本式)を用いることが考えられるが、基本式に気象情報等の新たな入力変数を加えたり、それらの重み(係数)組み合わせた予測式を変える用いることで、さらなる精度向上が期待される。しかし、新たな入力変数と係数の組み合わせ方は無数に考えられ、またそれらが予測精度に与える影響は不明である。
目 的
考えられる複数の残余需要予測式を想定し、体系的に比較する方法を考案する。また、PV導入率が高い九州エリアを対象に考案方法を用いた比較評価を行う。
主な成果
1.複数の残余需要予測式の想定と体系的な比較方法の考案
予測式の構築において手順を踏むことで、簡便に比較評価できる方法を考案した。
・比較評価する残余需要の予測式としては、①基本式をベースとし、②(i)新たな入力変数を導入する方法と③(ii)需要・PV出力予測値に係数をかける方法、④両者(②(i)と③)(ii)を組み合わせた方法の3通りを加えて用いることとした(表1)。
・これらを体系的に比較評価するため、図1に示す方法を考案した。新たな入力変数を導入する際は、気象変数(図2)と曜日変数からなる多様な入力変数の候補から、予測誤差の削減に有効なものを過去データに基づき選定して導入する。また、係数は予測実施日と同季節の過去データに基づき重回帰で決める。
2.考案方法に基づく複数の残余需要予測式の比較評価
9時に翌日7時~19時の残余需要を予測する場合を想定し、予測対象期間を2020年の1年間として考案方法に基づき比較評価を行い、下記を明らかにした。(図3)。
・基本式と比べた各予測式の相対誤差を図3に示す。新たな入力変数を導入することで、一部の予測対象時刻では基本式よりも予測誤差が小さくなる傾向がみられた。
・需要・PV出力予測値の係数を導入すると予測誤差が増加した。この理由は、これらの係数は予測精度への影響が大きく、その値を重回帰で決めた場合、予測式が過去データに過剰に適合するためと考えられる(図4)。
以上により、複数の予測式を体系的に比較評価することが可能となった。
概要 (英文)
This study compares four types of forecasting formulae for residual demand forecasting through numerical experiments, in order to discuss the appropriate method for residual demand forecasting and its technical issues. The formulae to be compared are (1) the basic formula, which is the formula obtained by subtracting PV output from demand, (2) the method of introducing new input variables such as weather information, (3) the method of multiplying coefficients to demand and PV output forecasts, and (4) the method of combining both (2) and (3). When introducing new input variables, those that are effective in reducing forecast errors are selected from various candidate input variables of meteorology and calendar based on historical data. The coefficients will be determined with multiple regression based on past data for the same season as the forecasting date. As a result of the comparison for the Kyushu area, the following has been found. First, it was confirmed that the introduction of new input variables into the basic formula can reduce the forecast error in some cases. Second, we confirmed that the introduction of coefficients for the demand and PV output predictions has tended to increase the forecast error. The reason for this may be that these coefficients have a large impact on the forecast accuracy, and when these values are determined by multiple regression, the forecast formula is over-fitted to the past data.
報告書年度
2020
発行年月
2021/07
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
比護 貴之 |
エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット |
キーワード
和文 | 英文 |
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残余需要予測 | residual demand forecast |
PV出力予測 | PV output forecast |
需要予測 | demand forecast |