電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
C20001
タイトル(和文)
IEC 61850を用いた配電自動化システムにおける電圧制御機器整定値の管理方法
タイトル(英文)
A Method for Managing Setting-Values of Voltage Control in IEC 61850-based Distribution Automation Systems
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
国内においても,電力流通設備の保護制御や自動化を担う各種システムに対し,国際標準IEC 61850を適用する動きが強まっており,配電自動化システムもその対象となっている。配電自動化システムにIEC 61850を適用する際,区分開閉器の遠隔制御や計測については既存の論理ノードをそのまま利用して実現できる。しかし,SVRなどタップを用いた電圧制御機器の整定値管理については,複数論理ノードの組み合わせが必要なため,適切な設計に基づき実用的なIEC 61850の適用方法を確立する必要がある。
目 的
タップを用いた電圧制御機器の整定値をIEC 61850により管理する方法を提案する。また,提案方法を実装した配電自動化子局を用いて,その実用性を評価する。
主な成果
1. タップを用いた電圧制御機器整定値をIEC 61850により管理する方法の提案
IEC 61850で定められているタップ自動切換制御用の論理ノード (ATCC) ,スケジュール制御用の論理ノード (FSCC),スケジュールの時刻情報や整定値などを保持する論理ノード (FSCH) の三種類を組み合わせた電圧制御機器整定値の管理方法を提案した。
論理ノードの組み合わせについては,簡潔な構成とするため,図1に示すように,管理に適した同一の時間幅(例えば12時間)ごとにFSCHを作成し,すべてのFSCHが有する断面の継続時間を同一(例えば30分)とする。また,同一の開始時刻および時間帯を対象とするデフォルトの整定値と臨時の整定値を用意して,電圧制御に関する柔軟性を持たせる。この場合でもFSCHの作成基準や断面の継続時間を同一とするとともに,臨時の整定値を高優先とすることで,管理方法の簡潔さを維持する。
また,FSCHが管理する整定値が多数となることで,整定値を遠隔から設定する処理時間が増大する恐れがあるため,図2に示すように,あらかじめ複数の整定値に関するデータオブジェクトをデータセットにまとめておき,親局からはデータセットにアクセスすることで,1回で複数の整定値を同時に設定できる通信を実現する。
2. 配電自動化子局を用いた実用性評価
提案した整定値管理方法が実際の配電自動化子局に実装できることを確認した。さらに,図3に示すシステム構成にて整定値設定に要する時間を計測した結果,表1に示すように2秒程度で処理でき,かつ他の監視制御機能も問題なく動作することを確認した。
以上により,提案する電圧制御機器の整定値をIEC 61850により管理する方法が,柔軟性を確保しつつ実用性も兼ね備えていることを確認した。
概要 (英文)
The control functions provided by existing distribution automation systems shall also be implemented in those based on IEC 61850. Management of setting-values for voltage control needs to sophisticated design in which several logical nodes work and collaborate together. This report proposes a method how to combine logical nodes including ATCC for tap change, FSCC for schedule control, and FSCH for holding values for schedule, to manage setting-values for voltage control. In this method, all FSCH instances have the same duration, unit intervals for schedule to keep simple maintenance of logical node. In addition, the method can instantiate FSCH for extraordinary setting-values as well as those for default values to provide flexibility to voltage control. The method has been implemented in a field control unit of distribution automation system and evaluated in terms of processing time. The results show the tap change control and transition of intervals work well, and the professing time to update setting-values spends about 2 seconds. So they indicate the proposed method can be applied to practical systems with simplicity and flexibility.
報告書年度
2020
発行年月
2020/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
大谷 哲夫 |
エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット |
共 |
小嶋 利朗 |
中部電力パワーグリッド株式会社 |
共 |
増田 康夫 |
愛知電機株式会社 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
電圧制御 | Voltage Control |
整定値管理 | Setting-value management |
通信 | Telecommunication |
国際標準 | International Standard |
論理ノード | Logical Node |