電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
C19001
タイトル(和文)
卒FITの住宅用太陽光発電の活用方策に関するユースケース分析-ヒートポンプ給湯機を用いたPV自家消費の有用性-
タイトル(英文)
Use Case Analysis of Utilization of Residential PV-Generated Electricity after Feed-in Tariff Payment Period- Advantage of PV self-consumption by heat pump water heater and daytime heat storage -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
2019年11月よりFIT買取期間が終了する住宅用太陽光発電(PV)が発生する。多くの小売電気事業者は、卒FITのPV余剰買取料金や関連するサービスを発表している。卒FITのPV電力の活用方法次第では、需要家側のコストやCO2排出量、一次エネルギー消費量へ影響を与える可能性がある。
目 的
PV設置戸建住宅を対象として、蓄電池とヒートポンプ(HP)給湯機による自家消費に着眼し、卒FITの住宅用PV電力の活用方法に関するユースケース分析を行う。年間電力・給湯需給シミュレーションを行い、どのような活用方法が有用かを明らかにする。
主な成果
卒FITの住宅用PV電力の活用方法として、表 1の5つのユースケースを取り上げた。HP給湯ケースでは、ガス給湯器をHP給湯機へ交換すると共に、従来の夜間蓄熱の他に、昼間蓄熱(PV余剰分)と夜間蓄熱の最適運転、毎日昼間蓄熱の3つの運転方法を考慮した。平均的な戸建住宅(4人世帯、温暖地)を対象に、年間電力・給湯需給シミュレーションモデルを用いて、世帯あたりの年間CO2排出量と一次エネルギー消費量、PV自家消費率、需要家側の年間コストの影響評価を行った。結果は以下の通り。
・想定した条件下では、需要家が蓄電池を導入してPV余剰電力を極力自家消費することは、PV自家消費率の向上に寄与するが、需要家にとって経済的ではなくCO2排出削減や省エネにもつながらない。
・HP給湯機の場合、ガス給湯器よりもHP給湯機の給湯システム効率が高いため、給湯電化によってCO2排出削減と省エネが実現する。さらに、最適運転や昼間蓄熱することにより、夜間よりも昼間のCOPが高いため、HP給湯機の昼間蓄熱運転によるPV自家消費は「CO2排出削減・省エネ」に貢献する。また、「PV自家消費率の向上」「需要家側コストの抑制」の点でもメリットがある。
以上から、給湯用途をHP給湯機によって電化し、昼間運転にシフトすることによってPV余剰電力を自家消費することは、需要家の経済性や省CO2・省エネの点から有望な手段であるといえる。
今後の課題
PV大量普及時においてHP給湯機の最適運転方法を実現する規格や制御技術の研究開発が必要である。また、住宅用PV電力の活用方法について、系統安定化効果など電力系統側からの有用性評価や災害時のレジリエンス対策としての評価も求められる。
概要 (英文)
A large amount of residential rooftop-PV-generated energy after FIT payment period would arise from November 2019 and beyond. If the post FIT payment decreases, the PV self-consumption with battery energy storage or heat-pump water heater might be more attractive for PV owners than PV exports. Recently a lot of post FIT related services for PV owners have been announced by power retailing companies. Focusing on heat pump water heater and battery energy storage, we performed use case analysis of utilization of residential PV-generated energy after the FIT payment period. The results show that the introduction of heat pump water heater and its daytime heat storage could contribute to the most PV owners' cost reduction and carbon emissions reduction and the increase in PV self-consumption rate.
報告書年度
2019
発行年月
2019/11
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
高橋 雅仁 |
エネルギーイノベーション創発センター カスタマーサービスユニット |
共 |
長谷川 浩巳 |
エネルギーイノベーション創発センター カスタマーサービスユニット |
共 |
上野 剛 |
エネルギーイノベーション創発センター カスタマーサービスユニット |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
卒FIT | Post FIT |
住宅用太陽光発電 | Roof-top photovoltaic power generation |
ヒートポンプ給湯機 | Heat pump water heater |
蓄電池 | Electric battery storage |
ユースケース分析 | Use case analysis |