報告書番号

C17015

タイトル（和文）

電力分野を含む産業分野でのブロックチェーン技術の開発・活用動向

タイトル（英文）

Trends of Blockchain Technology and Applications in Energy and Other Domains

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

背景
ブロックチェーン（BC）は，相互に信頼がない参加者間でも，改竄・偽造が原理的に困難な形で取引記録を保持できる分散台帳技術である。
仮想通貨やスマートコントラクト（自動契約）の基盤技術として，安価で迅速・柔軟な顧客サービスに役立つ可能性があり，金融・電力他各分野で活用方法の検討が行われている。
目的
BC技術の開発状況，電力を含む産業分野での活用状況，課題を整理する。
主な成果
1. BC技術の開発状況
不特定多数が台帳更新に参加する公開型と，限定される許可型では開発状況が異なる。
(a)Bitcoin等公開型の開発状況
・取引をブロック化し連鎖させる狭義のBC技術を用い，安全な取引を実現するが，取引に時間と取引手数料を要する。
・独自通貨発行，小口取引，自動契約実行などの機能開発が活発に進んでいる。
・IoT向けに，軽量・高速で手数料不要な新方式が登場した。
(b)Ripple, Hyperledgerなど許可型の開発状況
・台帳更新の合意方式を簡略化し，手数料が不要で高速な処理方式を実現している。
・金融での海外送金や証券取引など業界内取引処理を対象とした方式が開発されている。
・Hyperledgerプロジェクトなどオープンソースの開発環境整備が進められている。
2. BC技術の適用状況
電力分野外ではOpenAssetProtocolによる資産管理，文書記録管理（FACTCOM），ダイヤモンド流通管理を行うEverledger，ID発行管理のuPort等が代表的である。
電力分野では，Ethereumの自動契約機能によりPV融通を行うBrooklynMicroGrid，EV充電を行うShare＆Charge，独自プライベートチェーンで電力取引を行うEnerchain，DRでのエアコン制御を行うエナリス等の実証など、試験的適用も活発に行われている。
3． 課題
技術面，社会面，理論面など以下に示すような多方面の課題が顕在化している。
・取引遅延，手数料高騰などが生じており，大量小口取引等に耐える再設計
・プライバシー保護と資金洗浄対策，通貨・資産としての位置付け等の規制対応
・暗号鍵漏洩，システム設計・実装ミスによる偽取引・誤取引による損害防止方策
・合意形成の安全性など理論的検証，将来の技術進歩を想定した対応手法検討など
ポテンシャルは持つが開発途上の技術と理解した対応をとる必要がある。

概要 （英文）

Blockchain is a distributed ledger technology which can share transaction records among mutually untrusted participants in the form hard to tamper theoretically. It is a fundamental technology of virtual currency and smart contracts and can be useful to implement cheap and quick and flexible customer services and its utilization is considered in financial and energy and other domains.
This report surveys the current status and issues of development and application of blockchain technologies in industries.

報告者

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