報告書番号

C17011

タイトル（和文）

間取り情報のみを用いる需要推定手法の開発－入居者の世帯情報と過去の需要実績データを必要としない集合住宅全体の電力需要推定－

タイトル（英文）

A electricity demand estimation method for an apartment house based on layout information -Demand estimation without household information and actual demand data of the target apartment-

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

背景
近年，高圧一括受電契約に代表される，集合住宅全体を対象とする電気料金メニューの契約数が増加している。こうした料金メニューで需要家に魅力あるサービスを提案していくには，集合住宅全体の消費電力量（Wh）と消費最大電力（W）を推定する必要がある。
個別需要家については，世帯属性と過去の需要実績データから，需要を推定する各種手法が提案されている。しかし，データの蓄積が無い新築の集合住宅や，入居者の入替りにより過去のデータが使えなくなる賃貸の集合住宅については，需要推定手法の検討が進んでいない。

目的
対象とする集合住宅の入居者の世帯属性と過去の需要実績データが入手できない条件の下で，集合住宅全体の電力需要を推定する手法を開発する。さらに評価用の実績データが得られた消費電力量について，開発手法の推定精度を検証する。

主な成果
1. 間取り情報のみから需要を推定する手法の開発
同一の間取りに住む需要家の電気の使い方は，代表的ないくつかのパターンに分類できると考え，学習用に与えられた推定対象とは異なる集合住宅の電力需要データ注1) と，推定対象となる集合住宅の間取り情報注2) と気象条件から，集合住宅全体の電力需要を以下の手順で推定する手法を開発した。
（1） 学習用に与えられた集合住宅に住む需要家の電力需要データから，各需要家の需要特性注3) を算定（図1（1））
（2） 算定された需要特性を基に需要家を間取り毎に自動分類し，分類された各需要家グループの出現確率注4) と需要特性を計算（図1（2））
（3） （2）で計算した各需要家グループの出現確率と需要特性，推定対象とする集合住宅の間取り情報と気象条件から，集合住宅全体の需要推定値を計算（図1（3））
2. 推定精度の検証
学習用の全国7 都道府県の需要家35 軒の電力需要実績データを用いて，表1 の条件設定の下で集合住宅2 棟（集合住宅1：岩手県，集合住宅2：香川県）の電力需要を推定した。検証に用いる実績データが得られた各月の消費電力量（kWh）の推定精度を評価したところ，検証期間全体での推定誤差注5) の平均は，集合住宅1 で23.1%，集合住宅2 で24.1%となった（図2）。

概要 （英文）

This paper proposes an estimation method for electricity demand of an apartment house. The proposed method estimates the electricity demand based on layout-by-layout demand characteristics. The demand characteristics consist of cooling temperature sensitivity, heating temperature sensitivity, and base demand.
The value of the demand characteristics are determined by the demand data of the apartment houses different from the estimation target. We verify the estimation accuracy of the proposed method using the actual electricity demand of the two apartments. As a result, the mean estimation error of the proposed method is less than 25%.

報告者

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