電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

C16011

タイトル(和文)

2050年を見据えた再生可能エネルギー大量導入による余剰電力の用途に関する調査と一考察

タイトル(英文)

A research and a thought on future utilization methods of surplus electricity from renewable energy resources

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

○背景
わが国では2050年の二酸化炭素排出量を80%削減するという目標が掲げられており、電力だけでなく、ガスや液体燃料、熱を含めたエネルギー供給網(エネルギーグリッド)全体での低炭素化を推進する必要がある。再生可能エネルギーの導入促進のために固定価格買取制度が施行され、特に太陽光発電が電力グリッドに急激に導入されつつある。既に太陽光発電がグリッドパリティ注)を達成したとされる国もあり、わが国でもその導入は今後さらに拡大されるものと考えられる。一方で、再生可能エネルギーの大量導入時の電力グリッド運用上の課題のひとつとして、余剰電力の発生がある。

○目的
再生可能エネルギーの大量導入に対する電力グリッド運用上の課題への対応、特に余剰電力のエネルギー変換を通じた活用方法を整理する。また、将来のエネルギーグリッド像の検討とその実現に向けた技術課題を整理する。

○主な成果
1. 将来シナリオ検討の整理
低炭素化を目指した将来のエネルギーシナリオについて調査した。いずれも再生可能エネルギーが主要な供給源になると予測している(図1)。一方で、電力品質の維持等の観点から、電力グリッド側で受け入れられる再生可能エネルギーの量には限界がある。
2. 再生可能エネルギーの余剰電力対策
余剰電力の活用方法として、デマンドレスポンスやエネルギー貯蔵・変換など複数の技術・制度の統合的な活用が必要である。本報告では特にエネルギー変換について、水素製造や、液体燃料への転換などの現状技術と、技術のコスト試算をした研究について調査した。どの変換技術も高コストであり、より価値の高い物質(医化学製品等)に変換すること等、変換を高い付加価値につなげることが重要と考えられた。
3. 将来のエネルギーグリッド像の検討と実現に向けた技術課題の抽出
電力グリッドで発生した再生可能エネルギーの余剰電力が、エネルギー変換過程を経て電力以外のグリッドで活用される、将来のエネルギーグリッド像を検討した。また、実現のための技術課題を抽出・整理した結果(図2)、グリッド間のエネルギー融通キャパシティを向上するためのエネルギー変換技術、これらを制御する技術などの開発が重要であると考えられる。

○今後の展開
エネルギー変換技術の費用対効果の分析を通して、わが国に適した余剰電力の活用技術の導入タイミングと規模を整理し、電源構成や系統運用上の課題(慣性の確保等)を考慮した定量的なエネルギー供給グリッド構成を検討する。

概要 (英文)

A large scale introduction of the renewable energies to the electric power grid will be inevitable during the accomplishment of the target which aims to reduce 80% of carbon dioxide emission in 2050 from the current level; Japanese government set the target in a cabinet discussion held in 2013. Almost all the energy scenarios investigated by the major energy institute have predicted that the solar generation will be a major energy source in Japan around 2050's. The large scale introduction of the solar generation is responsible to the problems such as a voltage violation, an escalation of frequency fluctuation, and an insufficient supply of frequency inertia; the excess power obstructs the stable operation of the electric power grid. Based on the future concern of a shortage of the electric power grid capacity, a methodology to diversify the energy supply medium from the electricity to gas and liquid fuel is discussed in order to utilize the excess power from the solar generation.

報告書年度

2016

発行年月

2017/07

報告者

担当氏名所属

坂東 茂

エネルギーイノベーション創発センター 需要家サービスユニット

芦澤 正美

エネルギーイノベーション創発センター

八太 啓行

エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット

吉葉 史彦

エネルギーイノベーション創発センター テクノロジープロモーションユニット

米澤 力道

エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット

石塚 徹也

企画グループ

藤原 彩

企画グループ

土屋 陽子

エネルギーイノベーション創発センター 需要家サービスユニット

山本 博巳

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

根本 孝七

エネルギーイノベーション創発センター

古澤 健

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

キーワード

和文英文
電力系統 Power System
エネルギー将来ビジョン Future Energy Vision
余剰電力 Surplus Electricity
再生可能エネルギー Renewable Energy
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry