電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
C16007
タイトル(和文)
水車羽根の肉厚計測方式の考案 -小型ラインレーザの適用-
タイトル(英文)
Measurement Method of Water Wheel Thickness - Application of Small Line-Laser Module -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
水車羽根は土砂摩耗等により肉厚が減少するため、減肉の一指標として点検時に羽根先端部の肉厚を計測している。しかし、現在のノギス等を用いた計測方法では、多点の計測に手間がかかり、かつ先端部の断面形状を計測できないため、効率的に断面形状を計測可能とする方式が求められている。この課題には、レーザ等を用いた三次元計測が活用できる可能性があるが、水車羽根間の狭い空間で、薄い先端部を計測できる方式は存在しない。
目 的
水車羽根間の狭い空間で、先端部の断面形状を計測する方式を考案する。考案方式に基づく計測装置を試作し計測精度を評価する。また、実導入に向けた課題を抽出する。
主な成果
1. 2台のレーザとカメラを組み合わせた水車羽根の断面形状計測方式
狭い車室では市販の三次元計測装置を活用できず、従来のノギスでは断面形状を計測できなかった。そこで、これらを改善する下記の方式を考案した(図1)。
・2台の小型ラインレーザ1)を、羽根の表と裏面にそれぞれ投影し、2台の小型カメラで各面を撮影することで、断面形状を表すレーザ投影画像を取得する。
・レーザとカメラの位置と角度を利用した画像処理で、レーザ投影画像上のレーザ光部分の座標を計算し、三次元の断面形状を取得できる。
2. 計測装置の試作と実験による計測精度の評価および課題の抽出
ラインレーザと小型高精細カメラを、3Dプリンタで成型した筐体に取付けることで、考案方式に基づく計測装置を試作した(縦横高さ10cm以内,重さ150g)(図2)。試作装置を用いた精度評価を行い、実用上の課題を抽出した。
(1) 計測装置を実際の水車羽根等に適用し、断面形状が計測できることを確認した(図3)。計測装置で厚さ試験片を用いた計測値の平均誤差は0.14mm(標準偏差0.05mm)となり、羽根や羽根モデルを計測装置とノギスで個別に計測した比較でも平均差0.14mmとなった(図4)。実際の点検時の計測記録単位0.1mmとほぼ同等な結果を得た。
(2) 実用化に向け、計測誤差の要因と考えられる下記の2課題を抽出した。
・レーザとカメラの微細な角度調整やレーザ光の線幅など装置に起因する誤差の低減。
・人手で位置合わせするため、わずかに異なる場所を計測してしまう操作に起因する誤差の低減。
以上、考案した方式により水車羽根先端部の断面形状を簡便に計測できる見通しを得た。
注1) ラインレーザ:点ではなく、線状の光を発するレーザ(波長635nm、出力1mW以下)。羽根に対する投影光は、レーザ光による羽根の切断面と、羽根との交わる曲線となる。
概要 (英文)
Sand abrasions are one of the major causes at water wheel damages in hydroelectric plants. Repair time and replacement time of a water wheel are decided by the progress of the damages. In Francis wheels, which type is the most used in domestic power companies, thicknesses of blades are regarded as one of the indicators to the strength limit of a wheel. The thicknesses of blades are measured discretely with caliper gauges in periodic inspections to investigate the sand abrasions. This report proposes a thickness measurement method of water wheel blades to support the sand abrasions measurements. The proposed method uses two small cameras, two small line-laser modules and image processing to measure blade thickness. A compact size and light weight system using the cameras and line-laser modules is described in this report. The experimental results of four objects show that the average measurement error of thickness was 0.14 mm. The proposed method would be able to use for the thickness measurement of water wheel blades in periodic inspections.
報告書年度
2016
発行年月
2017/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
中島 慶人 |
エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット |
共 |
益富 和之 |
エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット |
協 |
伊藤 憲彦 |
エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット |
協 |
堤 富士雄 |
エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
可視化 | Visualization |
水車羽根 | Water wheel |
損傷 | Damage |
摩耗 | Abrasion |
画像処理 | Image processing |