電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
C16006
タイトル(和文)
磁気共鳴方式によるインバータを用いた双方向非接触給電回路の提案(その5)-kW級給電装置の高効率化と高調波電流の低減化-
タイトル(英文)
Proposal of a Bi-directional Magnetic-resonant Wireless Power Transfer by Use of Conventional Inverters (Part 5)- Improvement of a kW-class Output Efficiency and Attenuation of Harmonic Currents -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
低炭素社会実現に向けて、電気自動車(Electric Vehicle; EV)の普及拡大が期待されており、その充電方式として、従来方式より利便性の高い非接触給電技術の実用化が望まれている。当所では、給電用コイルの小型化・長ギャップ化を目指した磁気共鳴型1)の双方向非接触給電方式を提案し、国際的な利用周波数となりつつある85kHz 付近2)においてコイルの伝送効率3)91%の1kW 給電を実証4)した。しかし、実用化には、充電時間短縮のための大出力化5)が不可欠となることから、コアロスの低減等による更なる効率向上と、EMC 対策としてコイル電流の品質改善が必要で
ある。
目 的
電力伝送コイルのフェライト材見直しにより、コアロスの低減を図るとともに、コイルに流れる高調波電流の低減を図る。
主な成果
1.電力伝送コイルのフェライト材見直しによるコアロスの低減
当所が提案4)する4 枚のコイル(直径20cm)から構成される方式では、漏洩磁界を遮断するために、入出力コイル裏面にフェライトコアを貼り付けている。外部磁界が大きくなるほどコアロスが大きくなることを踏まえ、フェライトコアをこれ
までのNiZn 系から、強磁界での損失が小さいMnZn 系へ変更した85kHz 帯用の電力伝送コイルを試作した(図1)。その結果、MnZn 系ではコアロスの増大が抑制され、コイルの伝送効率を94%まで改善できることを明らかにした(図2)。
2.EMC 対策に関わるコイル電流の品質改善4 枚のコイルにおいて、入出力コイルと中間共鳴コイルを直列接続すると、回路上は2 枚のコイルから成る従来方式(2 回路系)を構成できる。当所の提案する4回路系と比較を行ったところ、4 回路系のほうが、コイルの効率向上が認められる
反面、電流の高調波成分6)が増大することを確認した。この対策として中間共鳴コイルにフェライトコアを粗に貼り付け(図3)、入出力コイルとの結合係数を1/3 に弱めた結果、コイルの効率向上とともに電流の高調波成分を抑制できることを明ら
かにした(図4)。
今後の展開
非接触給電システムの大出力化に対する伝送効率や放射ノイズ等の依存性解明のため、シミュレーションによるスケーリングやEMC 許容値に対する評価を進める必要がある。
概要 (英文)
A bi-directional magnetic-resonant wireless power transfer setup, of which the secondary circuit had the same topology with the primary one, was developed. The setup was a combination of four spiral coils with 20-cm diameters and inverter units operating at around 85-kHz of standardization recommended frequencies. By changing form the material HF70 to the material PC95 included with input and output parts of the coils, an efficiency of the coils increased from 91% to 94% at a transferring distance of 10-cm since MnZn series ferrite has a smaller core loss than NiZn series ferrite in a strong magnetic flux density below frequency of 1-MHz. To attenuate harmonic currents of the coils, we added a small amount of the material PC95 to resonant parts of the coils and reduced a coupling coefficient between the input part and the resonant one down to 1/3. Although a frequency operating at a maximum efficiency slightly shifted out of the range between 79-kHz and 90-kHz, a kW-output was demonstrated successfully with the efficiency of 94% and with the attenuated harmonic currents down to 1/10.
報告書年度
2016
発行年月
2017/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
名雪 琢弥 |
エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット |
共 |
根本 孝七 |
エネルギーイノベーション創発センター |
共 |
池谷 知彦 |
エネルギーイノベーション創発センター |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
双方向非接触給電 | Bi-directional wireless power transfer |
磁気共鳴方式 | Magnetic resonant method |
電気自動車 | Electric vehicle |
コアロス | Core loss |
電磁両立性 | Electromagnetic compatibility |